2020.10.06 防災
IP無線機は災害時の通信手段に最適!メリット・デメリットとおすすめ機器の紹介
近年、自然災害による大規模な被害が多くなっています。そういった災害時に必ず必要になるのが、円滑な情報共有です。
しかし、東日本大震災やその他の大規模自然災害時には備えていた通信手段が使えず、情報共有に大きな支障をきたした事例が多くなっています。
この記事では昨今の日本における非常用通信の状況から、それを踏まえた非常用通信の在り方、おすすめの機器を紹介します。
目次
災害時の非常用通信手段
大規模自然災害時に、通信手段が確保できず被害への対応が遅れてしまったというような話をしばしば耳にします。
下の表は東日本大震災の後、岩手県と宮城県にたいして行われたアンケートの結果です。
引用:大規模災害時の非常用通信手段の在り方に関する研究会報告書
https://www.soumu.go.jp/main_content/000427271.pdf
災害時に利用するために備えていた非常用通信手段を問題なく利用できた割合は27%程度にとどまっています。
そして残りの7割は非常用通信手段に何らかの問題を抱えていたことがわかります。
災害時の非常用通信手段には衛星電話やMCA無線、IP無線機など様々な機器が用いられています。それらの機器のそれぞれメリットとデメリットについて紹介します。
通信機器の比較
災害時の非常用通信手段には様々な種類の機器が利用されます。衛星電話やMCA無線、IP無線機などそれぞれのメリットやデメリットを紹介します。
衛星電話
衛星電話のメリット
屋外など衛星と安定した通信ができる環境下であれば、災害時でも安定した通話が可能で非常用通信手段として効果を発揮する。
衛星電話のデメリット
屋内では通話が出来ない。
屋外であっても天気が悪い日などは安定した通話ができないことが多い。
衛星電話を維持するためのランニングコストが高額。衛星電話について「衛星電話は災害時に有効なのか?衛星電話の種類やそれぞれの特徴を解説」の記事で詳しく解説していますのでこちらも併せてご覧ください。
またIP無線機と衛星電話の詳しい比較については「災害時の通信手段はどちらがおすすめ?IP無線機とお衛星電話を徹底比較」がおすすめです。
MCA無線機
MCA無線機のメリット
MCA無線の通信エリア内であれば安定した通信が可能。
災害時の非常用通信手段としての導入実績多数。
MCA無線機のデメリット
屋内での通話には不向きである。
マルチチャンネル方式を利用しているため、順番待ちになる可能性がある。
IP無線機とMCA無線の詳しい比較は「MCA無線とIP無線機の違いとは?IP無線機のメリットについて徹底解説」で紹介しています。
電話
電話のメリット
普段から使い慣れているため、緊急時に誰でも簡単に利用することが出来る。
電話のデメリット
災害時に通話が規制される可能性が高く、通話が出来なかった事例も多い。
基本的には1対1の通話になるため、情報共有のスピードが遅くなる傾向にあるため災害時には不向き。
固定電話や携帯電話がなぜ災害時につながらなくなるのか気になる方はコチラの記事をぜひご覧ください。
PHS
PHSのメリット
小型軽量で持ち運びがしやすく、利用する場所を選ばない。
携帯電話のような操作が可能で、誰でも簡単に利用することができる。
PHSのデメリット
インフラ面で障害が起きた場合に、復旧に時間がかかる。
サービスの停止が決まっているため、これから導入するのは難しい。
IP無線機
IP無線機のメリット
災害時に制限がかかりにくい、パケット通信網を利用している。
IP無線機はキャリアのインフラを利用した広大な通信範囲を確保しており、災害時にインフラにダメージを受けた場合の復旧も早い。
無線機としての通話だけでなくモニター機能、地図プロット機能など災害時に活躍するオリジナルの機能が充実している。
IP無線機のデメリット
パケット通信網が規制される可能性が0ではない。
上記のように、災害時の非常用通信手段に使われる機器にはそれぞれメリット・デメリットが存在します。
そんな中、最近ではIP無線機が災害時における非常用通信手段として有効であるという声が多く、とても注目を集めています。
そんなIP無線機とはどのような機器なのかをご紹介します。
IP無線機の特徴
IP無線機とは、NTTドコモやau、ソフトバンクなど携帯キャリアのパケット通信網を利用した無線機のことです。
日ごろ利用しているスマートフォンが使える場所であれば、エリアの制限なく通話をすることができる無線機として評価が高まっているIP無線機について4つの特徴をご紹介します。
パケット通信・Wi-Fiを利用した通話
IP無線機は基本的にパケット通信網を利用して音声通話を行います。また、パケット通信利用できない地下や高層階などではWi-Fiを利用することが可能なIP無線機もあります。
従来の無線機は決まったエリアでしか通話ができませんでしたが、IP無線機であれば日本全国どこに居ても通話をすることが可能です。
またNTTドコモやau、ソフトバンクなど携帯キャリアの通信を利用しているため、災害時、仮に基地局が倒壊した場合などでも自前のアンテナに比べ復旧が格段に速くなります。
免許の取得・アンテナの設置が不要
前述したとおり、IP無線機はパケット通信網を利用し音声通話を行います。
そのため、従来の無線機のような免許取得が不要になり、アンテナを新しく設置する必要もありません。導入時にかかる手間が少なくなったことで導入コストを抑えることが可能になりました。
動態管理システムなど、便利なオプション・関連サービス多数
メーカーによっては、IP無線機は音声通話機能と同時に端末の位置情報を管理する「動態管理システム」を利用することが可能です。
また、カメラ付きの端末なども登場しており災害時に便利な機能も多く搭載しています。
シーンに最適なデバイスを選択可能
IP無線機はハンディ型、車載型、スマホアプリ版など利用シーンに応じたデバイスを選ぶことができるのも大きな魅力のひとつです。
非常用通信手段としておすすめのIP無線機
IP無線機は災害時の非常用通信手段として最適です。ここでおすすめのIP無線機をご紹介します。
ハンディ型IP無線機 IM-550
業務用IP無線システムiMESHのIM-550は災害時の通信手段としておすすめのIP無線機です。
国内最高レベルの防水・防塵機能があり屋内外を問わずハードな環境で利用できます。
また、カメラを搭載しており画像・動画の送受信が可能になりました。緊急時には音声通話を行うより画像を送った方が簡単に情報共有できる場面が多々あります。現場の状況によって最適な情報共有を行うことで情報伝達速度の向上も期待できるでしょう。
ハンディ型IP無線機 IM-530
業務用IP無線システムiMESHのIM-530も災害時の通信手段としておすすめです。
業界最小・最軽量のIM-530は災害時のような端末を常に持ち歩くようなシーンで強みを発揮します。もちろん非常用通信手段として必要な通話機能を備えています。
また、バッテリーが簡単に交換できるため長時間の利用にも対応することが可能です。オプション品にはバッテリーをまとめて充電できる専用チャージャーもあります。
IP無線機の活用事例
IP無線機が災害時の連絡ツールとして有効である理由を説明してきましたが、ここでIP無線機をっ活用している組織の事例を紹介します。
人吉下球磨地区消防組合消防本部(熊本県)
熊本県の人吉下球磨地区消防組合消防本部でもIP無線機が災害時の非常用通信として活用されています。
人吉市といえば近年豪雨による大規模自然災害を経験している場所です。IP無線機の中には防水機能を備えている機器もあり、豪雨の際の野外作業にも活用できます。
導入事例の詳細はこちら
まとめ
災害時における非常用通信手段について様々な機器についての紹介を行いました。
おすすめの機器などを紹介しましたが、災害時には1つの通信手段に頼りすぎないことが重要です。
現在災害時の非常用通信手段を用意しているという方も、もし用意している機器が使えなくなってしまった場合にも連絡手段が確保できるよう通信の多重化を検討してみてはいかがでしょうか?