2023.10.03 防災

避難所運営で大切なこと-災害発生前(平時)編

洪水や土砂崩れ、津波などによる大規模自然災害時に居住地まで被害が及んでしまった場合、住民の一時的な生活の拠点となるのが避難所です。

その重要性はとても高く、被害者の心身の健康を維持するためにはしっかりとした整備が必要です。

この記事では避難所運営の中でも災害発生前にフォーカスを当てて運営のポイントを紹介します。

避難所運営~質の向上を目指す~

この記事は内閣府から発行されている「避難所運営ガイドライン」を基に作成しております。そして、このガイドラインでは「質の向上」ということばがよく出てきます。ここでの「質の向上」とは人間が人間らしい生活を送ることができるかという質を問うもので、生活水準における質の向上とは別物になります。

東日本大震災の際に解説された避難所運営については、過去の阪神淡路大震災の時に比べ運営に改善が見られましたが国際的な難民支援基準を下回っていました。

現在の日本における避難所運営はただ単に開設できればよいわけではなく、その次のフェーズである「質の向上」が求められています。

 

大切なこと①避難所運営体制の確立

災害が起こっていない平時では、災害対策本部が立ち上がっていないため、避難所整備をはじめとする防災関連の業務は防災担当部局の担当者が行っているという現状があります。

住民が主体となって行う避難所生活をより質の高いものにするためには、自治体のサポートが必要不可欠で、災害対策における大切な業務と言えます。

実際に災害が起きた際は、防災担当だけでなく全庁で各部局を横断した連携が求められることを忘れず、各部局の役割を明確にして有事の際に備えておきましょう。

 

避難所運営には要配慮者対応、上下水道、廃棄物、清掃等に関する対応が必要になります。このような点をカバーできるよう各部局の普段の業務を活かせる人員配置に加え、避難者の健康を支援する医療機関などとの連携も必要不可欠です。

定期的な防災訓練等を行い避難所運営にかかわるメンバーと顔合わせをしておくことをおすすめします。

大切なこと②避難所の指定<

被害想定をもとに水害、地震災害など災害の種類ごとに避難所を指定する必要があります。

地震はいつ発生するかわからないという特徴があり、予測が非常に困難であるため事前に避難を開始することが難しい災害です。よって基本的には災害が起きた後に避難を開始することになります。一方で台風や線状降水帯による風水害の場合は、地震とは別の考え方が必要です。風水害は気象データに関する技術の向上により予報の精度が高まっており、災害が起こる前に予防的な避難が可能になります。このような災害による違いを考慮して避難場所を定めていく必要があります。

水害の危険性がある地域においては川沿いに避難所を設けないこと、津波災害警戒区域内に避難所を設けないことを基本とし、想定される被害がなるべく少なくなる場所を探します。また、被害リスクだけでなく災害救援物資等の輸送が比較的容易である場所を指定することもとても大切です。

また、一次避難場所や広域避難場所と避難所の違いを住民が理解していることが大切です。避難に関する知識の啓発を行いましょう。住民を巻き込んだ避難訓練では避難所が不足するケースについてもシミュレーションを行い備えておきましょう。

 

大切なこと③初動の具体的な事前想定

実際に避難所を立ち上げて運営をするためには避難所運営のためのマニュアルや書式等を事前に準備しておき、避難所運営にかかわるメンバーの理解度が大切で初動対応に直結します。初動では避難所からの物資要請が現実的に困難な場合が多く、プッシュ型で最低限必要な物資を避難所に送る体制を整えておくことも大切です。また、トイレの確保も計画的な運用が必要とされます。

東日本大震災では物資の集積拠点不足により円滑な物資輸送ができなかったことから、物資集積拠点の計画的な配置・確保が必要とされました。また、在庫管理や配送管理が不十分であったことから民間事業者からの協力、連携が必要であるとされています。このような教訓を生かして初動対応時にプッシュ型で送られてきた物資を管理し活用できる体制を整えることが大切です。

 

大切なこと④受援体制の確立

避難所運営の計画では避難所を立ち上げるフェーズだけでなく、円滑に運営していくための体制づくりを行います。避難所は被災者自身が助け合いながら一定期間運営することが求められます。

自治体職員、ボランティア、福祉関係者など様々な方の支援を受け地域の避難所生活を支える必要があります。遠方の自治体やボランティア組織からも応援に駆けつけてくれることもあります。他の自治体は過去の被災経験などを活かしたサポートを行ってくれる心強い存在であるため、スムーズな受援体制は質の高い避難所運営に必要不可欠です。

受援体制が不適切であった場合、逆に現場の混乱を招きます。実際に過去の大規模災害でも混乱が起きたことが何度もありますので注意が必要です。

また受援体制を整える際には他の自治体が災害にあった場合に応援に行く準備も一緒に行っておくとよいでしょう。

 

大切なこと⑤帰宅困難者、在宅避難者対策

平常時に行う備えとして避難所へ避難してくる住民への最適な対応が重要であることはもちろんですが、帰宅困難者や在宅避難者の対応拠点としての役割を果たす必要が避難所にはあります。

帰宅困難者は、住民サービスの範疇を超えて、他市町村からの通勤・通学者、観光客等が多く含まれます。市町村内の事業所や学校等には、組織内の備えの充実を呼びかけ、組織構成員の帰宅困難者対策をお願いし、避難所への帰宅困難者の流入人数の抑制に努めましょう。

東日本大震災では首都圏で約500万人の帰宅困難者が発生し、公共交通機関をはじめとする様々な場所で混乱をまねきました。阪神淡路大震災の時には被害が大きかった地域の6割が在宅避難生活を行いました。避難所にいる避難者以外にもライフラインを失った在宅避難者がいることを忘れてはいけません。

災害発生直後の混乱はパニック状態に陥った住民がすぐに家に帰ろうとすることから発生することが多いことが知られています。移動手段で混乱が起こると、被害者を搬送するときにも影響が出てしまいます。このような帰宅困難者による混乱を最小限に抑えるために自治体は帰宅困難者一時滞在施設の整備を行う必要があります。

避難所とは別の施設になりますが、大規模災害の場合は数日にわたって帰宅困難者が生活する場になります。そういった状況にも対応できるように最低限の備蓄用品はこちらにも用意しておきましょう。

 

避難所運営の情報共有を効率化する方法

平時における避難所運営の準備について紹介しました。災害発生時は想定外のことが起きるということを前提に様々なパターンに対応できるよう準備を進めることが必要です。そして、自治体職員や関連機関、ボランティアスタッフ間の連携が運営の質に直結します。

最後に避難所運営メンバーの連絡手段としておすすめの防災用IP無線システムiMESHを紹介します。

防災用IP無線システムiMESHはボタン一つで必要な場所に必要な情報を迅速にとどけることができる通信機器です。スマホでの通話やLINEでのグループ通話にはない災害に特化した機能を備えています。災害に特化したコミュニケーションツールを活用することで、スタッフの負担を軽減し、質の高い避難所運営を実現しましょう。

全国の自治体でも導入が加速しておりますので、気になる方は事例をご覧ください。

東京都北区-「より正確に現地の様子を把握することができて、情報共有のスピードも向上しました。」

大分県大分市-「携帯電話が普及している時代に言葉だけで伝える機器では限界があると感じていました。」

鳥取県鳥取市-災害対策本部への情報集約が非常に困難であり、通信系統を一本化する必要がりました。」

 

 

「避難所運営ガイドライン」(内閣府) (https://www.bousai.go.jp/taisaku/hinanjo/pdf/1604hinanjo_guideline.pdf)を加工して作成