2025.05.20 コラム

観光バス業界で進むIP無線機の導入|業務用無線機との違いと導入時の注意点とは

観光(貸切)バス業界で進む通信機器のアップデート

従来の業務用無線が抱える課題

観光(貸切)バス業界では、これまで業務用無線機や携帯電話を用いた通信が主流でした。しかし、これらの通信手段には以下のような課題が存在します。

  • 通信エリアの制限:山間部や都市部の高層ビル群など、電波の届きにくい場所では通信が不安定になることがあります。
  • 一斉連絡の難しさ:携帯電話では1対1の通話が基本であり、複数のドライバーへの同時連絡が困難です。
  • 緊急時の対応力不足:災害時や事故発生時に迅速な情報共有が難しく、対応が遅れる可能性があります。
  • 走行中の通話:携帯電話やスマホの場合受話操作が必要で、走行中に業務指示を聞くことができない

これらの課題は、運行の安全性や効率性に直接影響を及ぼすため、通信手段の見直しが求められています。

観光(貸切)バス事業でIP無線機が注目される背景

近年、これらの課題を解決する手段として「IP無線機」が注目されています。

IP無線は、インターネット回線を利用した通信手段であり、以下のような特徴があります。

  • 広域通信が可能:携帯電話の通信網を利用するため、全国どこでも通信が可能です。
  • 一斉通話・グループ通話対応:複数のドライバーへの同時連絡が可能で、迅速な情報共有が実現します。
  • 高音質・低遅延:クリアな音声での通話が可能で、通信の遅延も少ないため、スムーズなコミュニケーションが行えます。
  • 免許不要で導入が容易:従来の業務用無線機と異なり、免許取得やアンテナの設置が不要で、導入のハードルが低いです。

また、IP無線の利活用は、観光業界におけるデジタル化推進の一環としても注目されています。観光庁では「観光DX推進の手引き」を公開しており、地域交通や観光サービスのデジタル連携が推奨されています(観光庁|観光DXの推進).

IP無線機と業務用無線機の違いとは?

観光(貸切)バス業界において通信機器の刷新を検討する際、多くの担当者が最初に悩むのが「IP無線機と従来型の業務用無線機は何がどう違うのか」という点です。

以下では、両者の違いをわかりやすく整理してご紹介します。

通信エリアとインフラの違い

IP無線機は、携帯電話キャリア(LTE/4G/5G)のネットワークを利用するため、全国どこでも通信が可能です。

これに対して業務用無線は、自社が設置した基地局や専用インフラ(VHF/UHF帯)を用いるため、通信エリアは基地局の電波が届く範囲に限定されます。

また、IP無線機は初期インフラ整備が不要な一方で、業務用無線は基地局やアンテナなどの設備投資が必要となる点も大きな違いです。

音声品質・遅延・通話機能の比較

IP無線機はVoIP技術により高音質な通話が可能で、ノイズも少なく、通話の遅延も非常に少ないのが特長です。

これに対し、業務用無線機は周囲の環境や距離によって雑音が入ることがあり、通話の品質にばらつきが見られることがあります。

通話機能においては、IP無線はグループ設定が柔軟で、一斉通話や個別通話の切り替えも容易です。業務用無線でも一斉通話は可能ですが、使用する機器によって機能に制限がある場合があります。

運用コストとメンテナンスの手間

コスト面では、IP無線機は月額課金制が一般的で、初期費用を抑えやすいのが魅力です。一方、業務用無線は基地局の設置や機器購入などに大きな初期投資が必要ですがランニングコストは安く抑えられる傾向があります。

保守についても、IP無線は通信会社やベンダーにより通信インフラの管理・保守が行われるため、ユーザー側のメンテナンス負担は比較的少なめです。これに対し、業務用無線は自社での保守や定期点検が求められ、コストや人手がかかるケースもあります。

緊急時の対応力と一斉連絡の柔軟性

災害時や渋滞トラブルなどの緊急時には、迅速な全体周知と指示が不可欠です。

IP無線機であれば、グループ通話機能や一斉通話機能を使って、オペレーターから複数の車両へ同時に通話を発信できるため、時間をロスすることなく現場に的確な指示が出せます。

さらに、iMESHでは「周辺通話モード」により、近距離にいる自社車両同士が直接通話できるため、観光地や高速道路上での台数口運行時に、現場同士の即時連携が可能になります。

また、通話内容の録音や履歴管理が可能なシステムも備えており、トラブル発生時の振り返りや報告対応にも役立ちます。

観光(貸切)バス事業にIP無線機を導入する5つのメリット

観光(貸切)バス事業では、通信手段の進化が運行の安全性や効率性に直結します。

ここでは、IP無線機の導入がもたらす主な5つのメリットを解説します。

広域通信で地方路線・観光地でも安定連絡

IP無線機は、携帯電話キャリアの通信網を利用するため、全国どこでも安定した通信が可能です。

これにより、山間部や観光地など、従来の業務用無線では通信が困難だったエリアでも、スムーズな連絡が取れます。

通話録音機能で運行トラブルに対応

IP無線には、通話内容の録音や通話履歴の保存機能が搭載されています。

これにより、運行中のトラブルやクレーム対応時に、過去の通話内容を確認することができ、迅速かつ的確な対応が可能になります。

災害時・渋滞時も迅速な一斉通話が可能

緊急時には、迅速な情報共有が求められます。IP無線機では、一斉通話やグループ通話機能を活用することで、複数の車両や関係者に同時に連絡を取ることができます。これにより、災害時や渋滞時でも、的確な指示を迅速に伝えることが可能です。

周辺通話で台数口運行が円滑に

iMESHの「周辺通話」機能を活用することで、近距離にいる自社車両同士が直接通話できます。これにより、観光地や高速道路上での台数口運行時に、先頭車両から最後尾車両までの円滑なコミュニケーションが実現します。

運行管理とのデータ連携で業務効率化

IP無線機はGPS機能を搭載しており、車両の位置情報をリアルタイムで把握することができます。

これにより、動態管理システムとの連携が可能となり、配車や運行状況の把握が効率的に行えます。

観光(貸切)バス向けIP無線機システムiMESHでは動態管理システム「モバロケ」が標準機能としてご利用いただけます。

導入検討時に確認すべきポイント

IP無線機のメリットに魅力を感じたとしても、実際の導入にあたっては慎重な検討が欠かせません。

導入後のトラブルや無駄なコストを避けるためにも、以下の4つのポイントは事前に必ず確認しておきたい項目です。

通信キャリアやエリアの確認

IP無線機は携帯電話キャリアの回線を使用するため、利用可能なエリアはキャリアの通信網に依存します。

都市部や主要道路では問題ありませんが、山間部や観光地などの一部地域では電波が不安定なケースもあるため、実際の運行ルート上での通信状況を事前にシミュレーションすることが重要です。

iMESHでは、主要キャリアのネットワークに対応しており、導入前に対応エリアの確認も可能です。

月額利用料と初期コストのバランス

IP無線機は初期費用を抑えやすい一方で、月額課金制のため長期的なランニングコストが発生します。

導入検討時には、機器費用・通信料・保守費用などをトータルで比較し、自社の運用スタイルに合った料金プランを選定することが重要です。

iMESHでは、車両台数や利用頻度に応じた柔軟なプラン設計が可能で、費用シミュレーションも無料で対応しています。

既存の車載設備との連携可否

IP無線を導入する際には、既存の車内インフラ(スピーカー、マイク、電源系統など)とスムーズに接続できるかどうかも確認すべきポイントです。

特に後付け機器の場合、配線や設置位置が運転の妨げにならないかのチェックが必要です。

iMESHでは、観光(貸切)バス車両への後付け対応にもノウハウがあり、設置設計のサポートも行っています。

また、取り付け工事が不要で車両間の入れ替えも可能なIM-861は最新の車載モデルとして注目を集めています。

利用人数・車両台数に応じたプラン設計

小規模な運行から、大型の観光(貸切)バス会社のような複数拠点・多車両の運用まで、どの程度の規模で使うかに応じて最適な通信グループ設計が必要です。

また、必要に応じてオペレーター端末や拠点間通話の有無も検討する必要があります。

iMESHは、数台〜数百台以上まで柔軟に対応できるシステム構成が可能で、運行規模に合わせた導入提案をしています。

導入事例紹介|武井観光様

業務用無線機からIP無線機への切り替え背景

群馬県を拠点とする武井観光様では、従来の業務用無線の通信範囲や音質に課題を感じていました。

特に、アナログ無線を使っていたことから通信不良により、台数口運行時の車両間連携に支障が出ることもあったといいます。

そこで、通信エリアの広さと一斉通話・周辺通話機能を重視して、iMESHを導入することを決定されました。

導入後に得られた効果と現場の声

導入後は、全国どこでも安定した通信ができるようになり、周辺通話による現場同士の即時連絡がスムーズに。これにより、車両間の運行調整やトラブル時の初動対応が格段に効率化されたとのことです。

さらに、モバロケを活用することで、運行管理の記録性が向上し、内部報告にも役立っているとご評価いただいています。

武井観光様 導入事例PDF

導入事例PDFをダウンロード(無料)

まとめと次のステップ

観光(貸切)バス業界において、通信手段の進化は安全性・効率性の向上に直結する重要なテーマです。

本記事では、従来の業務用無線が抱える課題から、IP無線の特長、そして導入によって得られる具体的なメリットについて詳しく解説しました。

また、武井観光様のように、実際の現場でiMESHを活用されている企業の声は、検討中の皆さまにとって大きな参考となるはずです。

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