2020.09.24 IP無線機

IP無線とは?無線やインカムなど他の機器との違いを詳しく解説

無線機は古くから業務連絡から防災の分野などで広く使用されてきましたが、新しい技術も登場しています。その1つがパケット通信を利用した「IP無線機」であり、今までの無線機の弱点を補える無線機として期待されています。

今回は、IP無線機の概要やおすすめの理由について解説いたします。

 

IP無線機とは

 

IP無線機は、携帯電話で利用されるパケット通信を用いた無線機の事を指します。

声や音をパケットデータに変換して音声のやりとりを行います。モバイルデータ通信が利用できないエリアではWi-Fiも使用することができ、幅広い電波に乗せた通信ができることが特徴です。

 

IP無線機と他の無線機(業務用無線機、MCA無線等)の違い

従来の無線といえば、業務用簡易無線機やMCA無線などが存在しています。

では、IP無線機とこれらには、どのような違いがあるのでしょうか?

 

業務用無線との違い

一般的に「無線機」というと、消防の現場やタクシーなど、同じ業務を行う人同士の連絡手段として用いられているものが思い浮かぶでしょう。これらの無線は、業務用無線と呼ばれています。

業務用無線を使用するためには、無線局の開局が必要です。

無線局の開局には、以下の条件を満たす必要があります。

  • 免許人以外の者の使用に供するものではないこと
  • 局を開設する目的や通信の相手方の選定及び通信事項が法令に違反することなく、公共の福祉を害しないこと
  • 局を開設することが既設の無線局等の運用や電波の監視に支障を与えないこと

その点、IP無線機の場合は無線局を開局することなく使用できます。というのもIP無線機は機器の利用に免許を必要としません。

無線免許は取得するのに手間がかるという印象をお持ちの方も多いかもしれませんが、定期的に更新が必要になります。ですので、取得後も無線免許を維持するためには手間がかかります。

業務用無線機の中には簡易業務用無線機と呼ばれる免許が不要なものもありますが、業務で使うものは基本的に免許の取得が必要であると考えましょう。

 

簡易業務用無線機との違い

簡易業務用無線機は、送信機能だけでなく受信機能も兼ね備えた、小型の通信機のことを指します。通信範囲が狭いために、主に近距離の連絡に用いられることが一般的です。

イベントやデパートなどでスタッフ同士が連絡を取っているインカムも簡易業務用無線の一種です。

免許が不要で誰でもすぐに対応が可能ですが、出力が弱いだけでなく混信もしやすいという難点があり、活用できる場が限定されているのが実情です。

その点、IP無線機は携帯電話の通信が行えるエリア内であれば安定して通話を行えます。またIP無線機も免許が不要であるため機器を購入するだけですぐに利用が開始できます。

ただし、簡易業務用無線が活躍するようなシーンではIP無線機の通信エリアをフル活用することは難しいケースが多く、実際の運用を考えて無線機を選ぶ必要があります。

 

MCA無線との違い

MCA無線とは全国114か所に設置されているMCA無線専用の中継局を利用し、広大なエリアで無線通話を行うことが出来る無線機です。

専用の通信網を利用するため、混線や輻輳(通信が込み合って通話が出来なくなる状態)のリスクを軽減できるメリットがあります。最近では災害時の通信手段としてIP無線機とMCA無線が比較されることが増えています。

MCA無線もIP無線機と同じく広大な通信エリアで通話が行えますが、IP無線機に比べると使える中継局(基地局)の数が少ないため、山間部や高層ビルが立ち並ぶ都市部ではMCA無線の通信が不安定になることがあります。

また、MCA無線はエリアごとで契約を行わなければいけないため、IP無線機と同等の通信エリアを確保しようとするとランニングコストが高くなります。

 

 

IP無線機がおすすめな理由

ここまでは業務用無線、簡易業務用無線、MCA無線など様々な無線機と比較をしてきました。それぞれにメリット・デメリットがありますが、IP無線機は従来の無線の弱点を補った機器としておすすめです。その理由を4つご紹介しましょう。

 

1.免許申請が不要

新たに簡易業務用無線機を利用する場合、電波法に従い総務省への無線局免許の申請が必要となります。

そのハードルは決して高くなく、申請後に審査を受けた上で予備免許が交付され、その後検査を受けて本免許が発行されるのが一般的です。

ただ、使いたい時にすぐに使用開始できるものではありませんし、もし無免許で電波を発射した場合は電波法違反となり、行政処分の対象となります。

その点、IP無線機は使用するために無線局の免許は不要です。無線従事者の配置も不要なので、使用方法さえ理解していればすぐにでも運用開始できます。

 

2.通信範囲が圧倒的に広い

従来の無線機におけるデメリットして、通信範囲の狭さがありました。半径1〜2km範囲が限度であったり、MCA無線でも日本全国をカバーするためにはランニングコストが高くなってしまうという課題がありました。

IP無線の場合は使用しているキャリアのサービスエリア内であれば日本中どこにいても通話を行うことが出来ます。しかも標準機能としてこれだけの通信エリアを確保しているため通信エリアによってランニングコストがかさむこともありません。

無線機を利用するエリアが毎日、毎月変わるような業務や、全国の支社支店を繋ぐBCP対策としての利用などIP無線機の通信エリアは無線機の運用をさらに便利にします。

また、IP無線機はデータ通信を行えるため、無線通話以外にも位置情報の管理や画像・動画の送受信など様々な機能を利用することが出来ます。無線機自体のアップデートなども定期的に行われるため、機器を購入して時間がたっても常に最新の機能を利用することができるでしょう。

 

3.様々な組み合わせの通話が可能

従来の無線機では、基本的に1対1の通話や、簡単なグループ通話を行うように設計されています。

一方、IP無線機の場合は更に細かいグループ設定や、端末に強制力を持たせたいなど、状況に応じたのコミュニケーションを取ることも可能です。

予め利用シーンを想定した設定をしておくことにより、従来の簡易業務用無線ではできなかった便利な通話を行うことが出来ます。

今までの無線機では考えられなかった便利な通話モードがたくさんあるので、導入を検討する際はメーカーに運用方法を相談すると思いもよらない活用方法を提案してくれるかもしれません。

 

4.通話の秘匿性が高い

従来の無線機では、直接電波をキャッチされて会話を他人に聞かれるリスクがあります。

その点、IP無線機では送受信の際にIPアドレスが活用されることで、指定した相手以外に通信が混入するリスクはありません。安心して会話を行えるでしょう。

現在世の中に流通しているIP無線機は4G/LTEを利用したものが多く、4G/LTEはとても強固なセキュリティ対策がされており日々進化しています。インターネットを利用するとセキュリティ的な問題が大きいという印象は捨ててよいかもしれません。

 

まとめ

IP無線機は従来の無線のデメリットを補える便利な無線機

IP無線機は、インターネット技術が応用されており、無線の弱点をうまく補ったものとして広く普及し始めています。

これから無線機を新たに導入しようという方はもちろんのこと、既存の無線機に不満を感じている方にもおすすめです。

 

おすすめのIP無線機

車載型IP無線機 IM-870

運転中の会話など、安全運行に支障をきたさないよう設計された車載専用設計のIP無線機です。
デッドレコニング機能による高精度な位置情報管理やゲートウェイ機能などに加え、各業種向けオプションも豊富に用意されています。

 

車載型IP無線機IM-870の詳細はこちら

 

ハンディ型IP無線機 IM-550

国内最高クラスのIP68の防水・防塵性能で、屋外のハードな環境にも耐えられる設計になっています。
この1台にすべてが揃うパイスペックハンディ端末です。

 

ハンディ型IP無線機IM-550の詳細はこちら