2022.12.20 防災

災害対策本部とは?被害を最小限におさえるポイント

東日本大震災や熊本地震のような大規模な自然災害が発生すると、自治体は「災害対策本部」を設置します。自然災害による被害を最小限に抑えるためにとても重要な役割を果たす災害対策本部について、運営のポイントを解説します。

災害対策本部とは

 

 

“感染症や災害が発生した場合であっても、必要な介護サービスが継続的に提供できる体制を構築する観点から、全ての介護サービス事業者を対象に、業務継続に向けた計画等の策定、研修の実施、訓練(シミュレーション)の実施等を義務づける。”

引用/災害対策基本法 | e-Gov法令検索

 

災害対策本部とは地震や台風、ゲリラ豪雨など大きな被害をもたらす可能性のある大規模自然災害が発生した場合に設置される災害対策に特化した部局です。

自然災害発生時には、避難所の運営や被害状況の把握、孤立地域への物資輸送など平常時には発生しない業務がたくさん発生します。

このような特殊な業務を専門とする組織を臨時で設置することにより、迅速な災害対応や重要な意思決定を行っていきます。

災害対策本部には各自治体の首庁が本部長を務め、災害に関する情報を集約し意思決定を行います。そして災害対策本部で定めた方針に沿って、各部局がそれぞれ業務を遂行します。

このように災害対策本部は災害時の自治体の動きを決めるとても重要な組織であることがわかります。

 

しかし、平常時は存在しないチームであるため運営が難しいということも事実です。

いざというときにしっかりと組織が機能するように、平常時から運営体制を整えておくことが重要です。

ここからは災害対策本部運営のポイントを解説していきます。

 

災害対策本部運営のポイント

災害対策本部とは大規模自然災害時に設置される組織であると説明しましたが、どのような準備を行えば円滑な運営ができるのでしょうか?

関係機関との連携

災害対策は自治体だけで完結するような簡単な話ではありません。医療機関や消防、警察、自衛隊など様々な外部機関と連携することでより強力な災害対策が実施できます。

例えば東日本大震災のような大規模地震が起きた場合、建物の倒壊や津波被害などが想定されます。このような状況下では消防や自衛隊による救助活動、医療機関による被害者の受け入れ対応が必ず必要になります。このような公的機関だけでなく消防団の協力が必要になる場面もあるでしょう。協力すべき機関とはしっかりと情報共有、伝達ができる体制を平時から整えておく必要があります。

 

活動場所の確保

災害対策本部の主な活動として、災害対策本部会議の開催や避難所の運営などを行います。災害対策本部とは大規模災害時に限って設置される部局ですから、事務作業や会議をどこで行うのかをあらかじめ決めておくことも重要になります。

いざ災害が起きたタイミングで適した場所に災害対策本部を設置できなければ円滑な災害対策に大きな支障をきたします。

・災害時の意思決定に関与する各部局、機関と円滑な情報共有ができる

・報道陣の対応ができる

・支援物資などが保管できる

上記のような災害時ならではの状況にしっかり対応できるよう、場所の確保についても準備を進めておくことが重要です。

 

情報収集・伝達手段の確保

地震や台風、ゲリラ豪雨など大規模な自然災害が発生すると色々なところで被害が発生します。被害の種類は多岐にわたり、それぞれ緊急度や深刻度も違います。

これらの被害に関する情報をいち早く収集し、整理しなければなりません。ここが円滑に進まない場合、各施策についての意思決定や緊急度の高い被害についての対応が遅れてしまい、どんどん被害が拡大してしまいます。

先ほどポイントとして紹介した「関係機関との連携」についても迅速な情報収集・伝達がとても重要になります。

住民からの被害状況の収集、そして関係機関との連携など膨大な情報を収集・共有するのに、普段使っている携帯電話やスマホだと時間がかかってしまいます。

そんな時におすすめの機器が「IP無線機」です。IP無線機はスマホと同じ通信エリアを備えた無線機です。スマホや携帯電話と違い、一斉通話やグループ通話など通話モードが充実しており、災害時の情報収集・伝達に役立ちます。

災害時のIP無線機活用については別の記事で詳しく紹介しているので、ぜひご覧ください。

 

 

 

訓練の実施

大村市_情報伝達訓練

自治体の防災担当者は万が一の大規模災害に備えて平常時から準備を行います。    計画した災害対策体制を実際に訓練で運用してみることが重要です。

計画した対策を実際に行うことで防災計画の欠陥や不足部分を把握し、改善を行うことで自治体の災害対策は強化されていきます。

訓練を行ううえで注意したいことは、なるべく実際の状況に近い形で実施することです。

スタッフの動きや使用する通信機器を実際に活用することで見える課題をしっかりと分析しましょう。

 

応援・受援の準備

ここまでは自分の自治体でできる準備について記載しましたが、実際に大規模な自然災害が起きると他自治体やボランティア団体の方が支援をしてくれるケースがよくあります。

しかし過去の大規模自然災害の時は、他自治体からの応援を受ける体制ができておらず大きな混乱をまねいたという報告があります。

このようなことから自治体の防災担当者には受援体制を整えることも重要なタスクの一つとして整備が進められるようになっています。他自治体からの援助を有効に活用できれば物資不足や人手不足を解消できます。

また、受援の体制だけではなく他自治体が被災した場合に、応援に行けるような体制を整えておくことも重要です。

 

まとめ

この記事では災害対策本部とはなにか、災害対策本部運営のポイントについて簡単にまとめました。

紹介したポイントはとても重要性が高く、体制を整備するのに時間がかかります。国から発行されているガイドラインや他自治体の事例を参考にしながら進めていくことでスムーズに整備が進むでしょう。