2024.04.12 防災

災害フェーズとは?5つのフェーズと自治体における通信手段の重要性

災害時における迅速かつ効果的な対応は、被害を最小限に抑え、迅速な復興への道を開くポイントです。

災害を予測することは非常に難しいものですが、災害フェーズを理解し、適切な通信手段を確保することは、災害に備えるための重要なステップとなります。

災害発生から復興までの過程は、一般的に超急性期、急性期、亜急性期、慢性期、平穏期の5つのフェーズに分けられ、それぞれのフェーズに適切な対応策が必要です。

特に自治体では、災害時の役割がフェーズごとに異なるため、通信手段の確保が欠かせません。災害フェーズの理解と適切な通信方法の確保が、災害に備えるための重要なステップであることを具体的な対応策と共にご紹介します。

災害フェーズとは?災害発生から復興までの5つのフェーズ

災害フェーズとは、災害が発生した際に、その対応がどのように進行するかを示す一連の期間のことを指します。

これらのフェーズは、超急性期、急性期、亜急性期、慢性期、平穏期の5つに分けられ、それぞれの期間に適した災害対策の計画立案が必要です。

またそうすることにより、災害対応の効率化が図られ、自治体が取るべき情報共有方法、通信手段の確保などの課題解決に役立ちます。

災害フェーズの定義とその重要性

災害対策では、5つに分けられ災害フェーズの定義、それぞれの期間にどのような対応が進行するのかを知っておくことが重要です。

  • 超急性期:発災直後
    危機管理の最前線、特に救命・応急対応が必要で迅速な情報共有と避難対策が重要になる。
  • 急性期:72時間まで
    救助活動と初期対応の段階で、通信手段の確保と避難所運営体制の整備が必要となる。
  • 亜急性期:1週間程度まで
    復旧活動と生活支援が行われ、被災者台帳の作成や住家被害認定調査が重要。
  • 慢性期:1週間~1か月程度まで
    長期的な復興計画が策定され、災害廃棄物処理や生活再建支援が活発となる。
  • 平穏期:3か月程度以降
    災害を踏まえた今後の対応、次の災害に備えるための対策が行われる。

5つの災害フェーズを理解する

どうして災害発生後の時期を5つに分けるのか、その分けられたフェーズにはどのような意味があるのかについて理解をすることが不可欠です。

災害フェーズの定義を理解しないまま、災害対応に取り組むことは対応の非効率化を招き、あらゆる需要と供給、被災者のニーズに対して、遅れを取ることとなってしまいます。

【市町村が実施すべき主な対策(フェーズ)一覧 内閣府防災情報https://www.bousai.go.jp/taisaku/chihogyoumukeizoku/pdf/1806suigai_tebiki_2.pdf

災害の5つのフェーズ詳細と対応策

5つのフェーズの詳細を把握することで、それぞれへの対応が可能となります。また自治体に求められる役割を果たすこと、確実な通信方法を確保しておくことが災害対策の成功には不可欠です。

超急性期は危機管理の最前線

超急性期は、災害発生直後から数時間後までを指します。このフェーズでは、生命を脅かすような緊急の危険が存在するため、迅速な対応が欠かせません。

具体的には、被災者の救助、安全な避難場所への誘導などが行われます。

自治体は危機管理の最前線に立ち、迅速な情報収集、緊急避難指示の発令、救助活動の指揮などの即時対応が求められます。

この期間では、地域住民への速やかな避難指示や救助隊の展開に情報の収集と共有が重要な課題となるため、無線通信や衛星電話などの通信手段の確保が不可欠です。

また災害の規模や被害状況、被災者の状況などを迅速に把握し、関係組織や被災者に対して適切な情報を提供することが求められます。

急性期は救助活動と初期対応

急性期は、災害発生から72時間までを指します。救助活動が最優先ですが、被災者への生活環境の確保なども主な課題です。

このフェーズでの中心となる救助活動の進行状況などの把握、被災者の生活環境への支援などでは、情報の収集と共有が重要となります。

被災者の救助にあたる救助隊や医療チームなどの活動、生活環境の確保では避難所の設営、生活必需品の供給、衛生環境の確保などには、インターネットやSNSを利用した情報共有が有効です。

医療機関や救護所の情報、被災者の安否確認や支援物資の配布状況などを伝えることができます。

亜急性期は復旧活動と生活支援

亜急性期は、災害発生から1週間程度です。被災地の清掃、倒壊した建物や道路上のがれきなどの撤去、電力・ガス・水道などの供給の復旧、道路や橋などの交通インフラの修復などの復旧活動が行われます。

また生活支援として、生活基盤の回復、被災者の生活支援、仮設住宅の提供に向けた活動が本格化するのもこのフェーズです。

またこの期間でも、情報の収集と共有は重要な課題で、復旧活動の進行状況や生活環境の状況、被災者の状況などを把握し、関係組織や被災者に対して適切な情報を提供することが求められます。

加えて通信手段は、関係機関どうしの情報伝達だけでなく、被災者の心理的ケアの相談窓口としても有効です。

慢性期は長期的な復興計画

慢性期は災害発生から数ヶ月後を指します。このフェーズでは、被災地の復興計画の策定が進められ、通信手段はその復興計画の進捗状況の共有や意見交換の場として有効です。

平穏期は次の災害に備える

平穏期は災害が発生していない時期を指します。このフェーズでは、次の災害に備えるための防災計画の見直しが実施され、防災訓練や通信システムの強化、住民の防災意識の向上を図ることが可能です。

これらのフェーズに合わせて適切な通信手段を確立し、防災情報の提供に活用したり、訓練を通じて通信手段の周知と適切な運用ができるよう備えておくことが重要になります。

関係組織間の迅速な情報共有の重要性

災害対策においては、関係組織間での迅速な情報共有が不可欠です。そのため、通信手段の確保が自治体の災害対策においては不可欠だといえます。

通信手段の確保、多様な伝達手段の準備が、情報共有を円滑に実現するためのポイントです。関係組織間での信頼性の高い情報共有は、被害の最小化、救援活動の効率化、被災者支援の最大化に繋がります。

通信手段の確保が自治体の災害対策において重要

災害時には、迅速かつ正確な情報の共有が非常に重要です。

通信手段が確保できていないと、必要な情報が適切なタイミングで共有できず、災害対策の遅延や混乱を招く可能性があります。

災害時における通信手段としては、通常の通信インフラが機能しない可能性があるため、独立した通信システムの確保が必要です。無線通信や衛星通信、インターネットを活用した通信などが考えられます。

迅速な情報共有を実現するための手段と戦略

各フェーズの災害対策において、信頼性の高い通信手段は混乱を避け、迅速な情報共有と対応を可能にするために極めて重要です。

災害時には、電話網やインターネットがダウンする可能性があるため、衛星通信や無線など、様々な手段を確保しておく必要があります。

そのため通信インフラの整備と管理は、計画的かつ継続的な取り組みが求められる自治体の重要な責任の一つです。

また、情報共有を実現するための戦略として、通信設備を適切に活用するための通信訓練が重要です。

定期的な通信訓練は、災害を想定した通信手段の使用方法の確認と通信インフラの整備と管理に役立ちます。

これらの戦略を通じて、災害時の迅速な情報共有と対応を実現し、被害の最小化と迅速な復旧を目指します。

【情報を一人ひとりにすばやく届け、 災害からみんなの安全を守るhttps://www.soumu.go.jp/main_content/000305852.pdf

位置情報管理によるスタッフの管理

災害対策本部や救助隊など、災害対応にあたるスタッフの位置情報をリアルタイムで把握することは、効率的な人員配置と迅速な対応に直結します。

位置情報管理システムを導入することで、スタッフの安全確保と作業の最適化が可能です。

位置情報管理を活用したスタッフの効率的な管理方法

災害時におけるスタッフの管理には、位置情報管理が有効です。

位置情報管理を活用することで現在位置をリアルタイムで把握することができ、スタッフの安全確認、救援活動の効率化を実現することができます。

位置情報管理を活用するためには、GPSなどの位置情報を提供するデバイスをスタッフに持たせることが一般的です。また、この位置情報を一元的に管理し、関係者がリアルタイムで確認できるシステムの構築も重要になります。

位置情報管理を活用することによって、スタッフの行動を追跡し、最適な活動を計画することが可能です。

また、スタッフが必要な場所にいるかどうかを確認でき、適切なタスクに取り組んでいることを保証することにも役立ちます。

位置情報管理システムは、スタッフの生産性を向上させ、災害対策の効率を最大化することが可能です。

これにより、災害現場でのスタッフの動きを効率的にコントロールし、必要な場所に迅速に人員を派遣することができます。

通信訓練で適切な運用体制の構築

通信訓練は、災害時における位置情報管理によるスタッフの効果的な活動を確保するためにも不可欠です。

位置情報管理により適切にスタッフを配置させることができるものの、そのスタッフとの適切な情報共有や情報伝達には通信手段の活用が役立ちます。

すなわち、位置情報管理によるスタッフの動きのコントロールは、通信手段と組み合わせた運用体制を取っておくことで、より最大化させることが可能です。

1対多数の通話の重要性とその実現方法

災害時には、多人数との通話が求められる状況が数多くあります。そのため1対多数の通話を可能にする通信手段の確保、効果的な通話を実現できる通信手段を選定しておくことが重要です。

多人数との通話が求められる状況とその重要性

災害時には、一人の指揮官が多数の救助隊員やボランティアに指示を出すシチュエーション、医療機関から関係機関に対して一斉通話をするようなシチュエーションがあります。

このような状況では、1対多数の通話が1対1の通話では難しい迅速な情報共有と統一された行動にとても有効です。

効果的な1対多数の通話を実現するための通信手段とその活用方法

1対多数の通話を効果的に行うためには、適切な通信手段の選択が重要になります。

例えば、ラジオ放送は広範囲に情報を伝えることができますが、双方向のコミュニケーションは難しいです。一方、インターネットを利用したSNSやメールは、双方向のコミュニケーションが可能ですが、全ての人がアクセスできるわけではありません。

効果的な1対多数の通話を実現するために、グループ通話が可能な無線システムやインターネットベースの通信アプリケーションが有効です。

またインターネットを活用した通信手段では、音声だけでなく、テキストや画像、動画などの情報も共有することにも役立ちます。

通話、画像・動画、位置情報を一つの端末で!防災用IP無線システム iMESH

災害時の1対多数の通話を正確かつ迅速に行うために便利なツールを紹介します。

防災用IP無線システムiMESHは一斉通話やグループ通話などの音声通話、画像動画の送受信、端末の位置情報管理を一つの端末で行うことができるツールです。

またこのような機能が標準機能として搭載されているため、ランニングコストを抑えて運用することができることも特徴のひとつです。

IP無線機について詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。

 

まとめ:フェーズ別対策と確実な通信方法の確保が重要

最適な災害対策を目指す上では、フェーズ別の対策と確実な通信方法の確保が不可欠です。

それぞれのフェーズに適した対策を取り、確実な通信手段を確保することで、災害からの復旧を迅速かつ効果的に進めることが可能となります。

また、通信手段の確保だけでなく、その適切な運用も重要です。通信訓練を行い、通信手段の使用方法を確認し、災害時における適切な運用体制を構築することも忘れてはなりません。

自治体にとって、災害に強いコミュニティを築くためには、フェーズを理解した準備と対応、確実な通信手段の確保が重要な責務です。