2023.05.15 IP無線機
どっちが便利?IP無線アプリとIP無線機の違いと賢い選び方
キャリアの通信網を使うことで広大なエリアをカバーする無線機として活躍しているIP無線機ですが、最近ではスマホアプリでIP無線機の機能が利用できるIP無線アプリが登場しています。
そこでIP無線機とIP無線アプリの違いや使い分けについて知りたい方も多いのではないでしょうか?
この記事ではIP無線機とIP無線アプリを比較してどのような違いがあり、それぞれが最適な利用シーンについてご紹介します。
※この記事を読む前に
IP無線アプリとIP無線機の基本的な機能は同じなので、もしまだIP無線機についてよくわからないという方はこちらの記事をご覧いただいた後に本記事を読んでいただくことをおすすめします。
目次
IP無線アプリのメリット
まずはIP無線アプリのメリットについて解説します。
初期費用が安くなる
IP無線アプリはお手持ちのスマートフォンにアプリをインストールするだけで利用が開始できるため既に業務用のスマートフォンをお持ちの方であれば導入時の初期費用を抑えることができます。
仮に業務用のスマートフォンを備えておらず新たにスマートフォンを購入するとしても、IP無線機を導入する場合は1台あたり10万円前後の初期費用が発生します。一方でIP無線アプリを利用するためのスペックを備えたスマートフォンであれば5万円程度で購入できる場合もあります。
機器選定において初期費用を最優先する場合はIP無線アプリの利用、またはIP無線機のレンタルやリースを検討してみてはいかがでしょうか。
ランニングコストも安い
IP無線アプリは初期費用だけでなく毎月かかるランニングコストも抑えながら運用することができる点も魅力です。
現時点での各社の料金は下記の通りです。
iMESH:750円/台
Buddycom:660円/台~
スカイトランシーバープラス:1,100円/台~
※2023年5月時点でのHP上での情報
IP無線機は2,000円/台程度のランニングコストが相場となっていますが、IP無線アプリの場合660円から利用できるものもあり、IP無線機と同等の機能が使えて尚且つ低コストで運用できます。
上記は最低料金ですので、プランによっては金額が増減する場合もあります。業務で必要な機能を整理して最適なプランがいくらになるのか調べてみましょう。
他のアプリと併用できる
IP無線アプリをインストールするスマートフォンにはもちろん他のアプリをインストールすることも可能です。
例えばLINEやGmailなどのアプリをインストールしIP無線アプリと使い分けを行うことで便利に情報共有や業務連絡を取ることができるかもしれません。
ただし、アプリ同士の相性やスマートフォンの処理能力によって併用できないアプリもあるため事前にデモ等で動作確認を行って導入を決めることをおすすめします。
特に通話系のアプリ同士だと不具合が出るケースがあるため注意しておきましょう。しっかりと動作検証を行いうまく活用すれば1つのスマートフォンが色々な業務で活躍する業務用端末として活躍するかもしれません。
IP無線アプリのデメリット
次にIP無線アプリのデメリットを紹介します。
バッテリー消費が大きい
IP無線アプリは常にアプリを起動する必要があります。また、無線機の特性として通話回数が多くなってしまうため、その分バッテリーをたくさん消費してしまうことを忘れないようにしておきましょう。
1回の充電で長時間利用する場合はバッテリー性能の高いスマートフォンを用意したり、バッテリー交換ができるスマートフォンで運用するなど工夫が必要になります。
またバッテリーの消費量はアプリによって各社差がありますのでデモ等でしっかりと確認しておきましょう。
アプリによっては長時間利用に耐えることができる業務用のスマートフォンをラインアップとして用意しているケースもありますが、その場合IP無線機の方がコストパフォーマンスに優れているという場合もあります。
動作が不安定になりやすい
IP無線アプリにはそれぞれ推奨環境がありますが、スマートフォン側がいつもその推奨環境を満たすことができるとは限りません。
たとえばOSの大きなアップデートがあった場合にアプリがOSのアップデートに対応するまでに時間がかかることがあります。このようなケースは頻発するわけではありませんが、業務用として利用するうえで動作が不安定になるリスクを最小限にして運用することは重要です。
OSとの相性については利用者がアップデートを制限する等の対策をとることも可能ですので、運用でカバーするという選択肢もあります。
しかしOSだけでなくスマートフォン自体との相性が悪く操作が煩雑になったり、動作が重くなってしまうこともあります。
導入前にしっかりとデモ環境で動作を確認しておきましょう。
端末の耐久性が低い
スマートフォンはIP無線機に比べて耐久性が低いものが多いです。物理的なボタンが少ないスマートフォンでIP無線アプリを利用している最中に画面が割れてタッチ操作ができなくなりIP無線アプリが使えなくなってしまう可能性もあります。
また、野外で利用する場合雨などで画面がぬれると思うように操作ができなくなってしまう場合もあります。
スマートフォンを落としてしまう危険性が高い場合や、屋外での利用がメインになる場合は本当に問題なく利用できるのか検証する必要があります。
最近では耐久性に優れたスマートフォンも登場していますが高価であるため、IP無線機での運用を検討してみてはいかがでしょうか。
操作が複雑になる
IP無線アプリには他のアプリと併用できるというメリットがありましたが、便利さと引き換えに操作が複雑化してしまいます。
使い手のITリテラシーが高い場合は問題ありませんが、いろいろな人が使う場面では複雑な操作がとても不便に感じられることもあります。
例えば年配の方がIP無線アプリを利用する場合をイメージしてみてください。何かの誤操作でアプリが落ちてしまった、突然OSのアップデート通知が出てきてしまったなどの意レギュラーな対応が必要な場合に適切な操作ができるでしょうか?
IP無線アプリ以外のアプリも併用する場合はしっかりと操作に関する教育を行うことでしっかりとした運用ができるでしょう。
IP無線機の強み
先ほど紹介したIP無線アプリのデメリットをカバーできるのがIP無線機です。
IP無線アプリのデメリットの中に選定のポイントになる要素が含まれていた方は、ぜひIP無線機も選択肢の一つとして残しておきましょう。
動作が安定している
IP無線機は専用のハードウェアが用意されているため、スマートフォンで運用するIP無線アプリよりも動作が安定します。
最近ではIP無線機にAndroidOSがインストールされている機種も多く、スマートフォンのように他のアプリと併用できる端末もあります。動作の安定性と他アプリとの併用どちらも譲れないという方はIP無線機メーカーに相談してみましょう。
便利なオプション品
IP無線機には業務での連絡を便利にしてくれるオプション品がたくさん用意されています。
アプリとスマートフォンには相性があるという話をしましたが、イヤホンなどの周辺機器とスマートフォンにも相性があります。
周辺機器とスマートフォンの相性については購入して接続してみるまで動作するかわからないというケースもよくあります。
その点専用のオプション品があるIP無線機は安心して導入できます。IP無線アプリを導入する際はオプション品の動作確認状況などもしっかりとチェックしておきましょう。
耐久性の高い端末
IP無線機は耐久性に優れたものが多く、ハードな環境での利用に耐えることができます。端末の耐久性についてはIPXXで表記されており、業務に必要な耐久レベルに合わせて選ぶことができます。
また、タッチパネルだけでなくテンキーなどの物理キーが備えられている端末では画面が割れてしまった場合でもIP無線機の利用を継続することができます。
最近では耐久性の高いIP無線機が災害現場での連絡手段として活用されているところもあり、信頼性も高いといえます。
結局どっちがおすすめ?
ここまでの内容を踏まえてIP無線アプリとIP無線機どちらがおすすめなのかまとめたいと思います。
IP無線アプリはこんな人におすすめ
- ・とにかく初期費用を抑えたい
- ・とにかくコストを抑えて運用したい
- ・既に持っているスマートフォンを活用したい
- ・ハードな環境での利用は想定していない
- ・年配の方が使う予定はない
IP無線機はこんな人におすすめ
- ・安定して動作するものがいい
- ・野外で利用する
- ・いろいろな年齢層の方が利用する
- ・長時間利用する必要がある
まとめ
本記事ではIP無線アプリとIP無線機の違いをご紹介して、それぞれどのような人におすすめなのかを解説しました。
それぞれメリットとデメリットがあり素晴らしい製品ですので、両方を試して最適だと思う方を選んでみましょう。