2022.06.28 コラム

免許不要の無線機を用途別に紹介!業務用に最適な無線機はどれ?

業務用無線機の運用につきまとう免許の取得、更新の問題。免許の管理には金銭的なコスト以外にも様々な手間がかかります。

ですが、数ある無線機の中には免許が不要な機種がいくつかあります。

免許の管理が不要になるだけで無線機の運用が格段に楽になることは容易に想像できます。

この記事では無線免許についての説明と、免許なしで使える業務用無線機をご紹介します。

 

無線局免許とは

無線機をチェックする男性

無線機は電波を利用して音声のやり取りを行うコミュニケーションツールです。

電波の特性上、誤った操作を行うと混信などが起こる可能性があり、他の無線局運用を妨害してしまう危険性があります。

このような事態を防ぐために、無線機を運用する際には一定の知識を有する必要があります。そのための資格が無線局免許です。

 

取得、更新の方法

次に免許取得の方法について説明します。

一般的な流れは次の通りです。

 

 

  • 申請
    無線局免許を取得するためには申請が必要になります。申請の際には申請書に加えて、無線局の開設目的、設置場所、使用する無線機の工事設計などを記載した添付資料が必要になります。

 

  • 審査
    ①で提出した各種資料は総務省で審査されます。ここでは

    ・工事設計が電波法に定める技術基準に適合すること
    ・周波数の割り当てが可能であること

    ・総務省令で定める無線局開設の根本基準に合致すること
    などが審査事項となります。

 

  • 予備免許
    審査の結果②に適合している場合は予備免許が与えられます。

 

  • 検査
    予備免許を受けた場合は、無線設備の工事が落成した際に「落成届」を総合通信局に提出し、落成検査を受けなければなりません。

 

  • 免許取得
    MCA無線の陸上移動局、簡易無線局、アマチュア無線など小規模な無線設備の場合③④の工程が省略されるケースがあります。これは審査で法律的に問題がない機器であると認められた場合に限ります。

 

  • 運用開始
    ここまでの審査や手続きが完了すれば免許状が交付されます。なお免許には期限があり、

    アマチュア局、陸上移動局、簡易無線局:5年
    義務船舶局、義務航空機局:無制限
    上記の通りとなっています。

参考サイト:総務省電波利用ホームページ-免許

 

それでは早速どの無線機で免許が必要なのか、逆に免許が不要な無線機はどれなのか見ていきましょう。

利用用途に最も近い無線機をチェックしてスムーズに無線機の導入が行えるように備えておきましょう。

 

無線局免許が必要な機器

ここでは無線局免許の取得が必要な機器を紹介します。

デジタル簡易無線

デジタル簡易無線とは最大で5Wを出力できる無線機です。

簡易無線局にはデジタル通信方式とアナログ通信方式がありますが、アナログ通信方式に比べてデジタル通信方式は音質が良く、セキュリティ面でも優位性があることが特徴です。

また簡易無線には無線局と登録局の二種類があります。どちらも機能面で差はありませんが、利用用途に制限があり免許局は業務用の無線機としてのみ利用が可能です。一方の登録局は業務用に加えてレジャー用の通信としても利用が許可されています。

簡易無線局のデジタル化

アナログ通信方式の簡易無線は電波法の改正により令和6年12月1日以降は使用できなくなります。令和4年6月現在、アナログ簡易無線の新規免許取得は不可能で、再免許に限り認められている状況です。

アナログ簡易無線を利用中で今後も無線の利用を継続する場合はデジタル簡易無線への乗り換えが必要となりますので注意が必要です。

 

一般業務用無線

一般業務用無線機とは、簡易無線や特定小電力無線を以外の様々な業務に使われる無線機の総称です。

業務で使われるという点では簡易無線と変わりありませんが、出力が簡易無線よりも大きく、より広い範囲での通信が可能になります。

専用周波数を利用するため強固な通信体制を構築することができるため、公共機関やインフラ整備、消防などで活用されています。

 

MCA無線

MCA無線とは、MCA無線専用の中継局を利用して通信を行う無線機です。

全国に設置されている基地局を利用できるため、利用用途に応じて広いエリアをカバーすることも可能です。契約する内容によっては全国で繋がるような通信を確保することもできます。

また専用の通信網を利用するため回線が混雑するリスクが少なくなるのもMCA無線の特徴です。

 

無線局免許が不要な気機器

次に無線局免許が不要な機器を紹介します。

特定小電力無線

特定小電力無線は簡易無線よりもさらに出力の低い無線機で、出力の上限は1Wと定められています。そのため最大100m程度の近距離での通話しか行わない業務で頻繁に利用されています。

デパートやイベントでスタッフが使用しているインカムはほとんどがこの特定小電力無線に該当します。

また混信防止機能を有しているためほかの無線局を妨害するような危険性がないのも特定小電力無線が免許なしで運用できる理由の一つでもあります。

 

IP無線

IP無線は普段みなさんが利用しているスマートフォンと同じくキャリアの通信網を利用して通話を行う無線機です。メーカーによってキャリアは違いますが、普段スマートフォンで通話ができる場所であればどこでも通話ができます。

また、ここまで紹介した無線機のなかでも音質はトップクラスです。これまで免許不要の無無線機と言えばインカムのような特定小電力無線しかありませんでしたが、免許不要でさらに通信エリアが広大であるためIP無線の登場はとても注目を集めました。

 

業務用ならIP無線機がおすすめ

これまである程度広範囲をカバーできる無線を運用したい場合、無線局免許が必要なデジタル簡易無線、一般業務用無線、MCA無線などを利用する必要がありました。

しかしIP無線の登場で免許の管理をしなくても広範囲で無線を利用することができるようになりました。

ここでは従来の業務用無線にはないIP無線機の特徴を紹介します。

広大な通信エリア

IP無線は普段スマートフォンが利用できる場所であればどこでも通話を行うことができます。業務用無線は数キロ離れた場所が限界だったのに比べて日本国内であれば沖縄と北海道でも通話ができるほどに広大なエリアで無線機が運用できます。

場所の制限がなくなるだけ無線機の運用は格段に楽になるでしょう。

 

低コストで導入が可能

前述したとおりIP無線はキャリアの通信網を利用する無線機です。キャリアの基地局を使うということは通信エリアのメリットだけでなく、導入費用の削減にもつながります。

従来の業務用無線機は導入時に端末費用と基地局の設置費用が掛かるケースが多く、導入コストが高額になることがありました。

IP無線は端末を購入すればすぐに運用が開始できるため、運用開始時の金額的コストと時間的なコストを大幅に削減することができます。

 

テキスト・画像・動画の送受信

IP無線はパケットでやり取りを行うため、音声通話のほかにテキストメッセージの送受信や画像・動画の送受信が可能なモデルがあります。時として音声でのコミュニケーションではなく画像やテキストが最適なタイミングもありますので、状況に応じて手段を変更することで業務をより円滑に進めることができるようになるでしょう。

 

位置情報の管理

また無線機の位置情報を管理する動態管理システムが使えるモデルも多数登場しています。

運送業や、バス、タクシー、建設業など車両の移動が欠かせない業種ではこの機能が大活躍します。

音声通話しかできない業務用無線機とは別に動態管理システムを利用している方は、IP無線への乗り換えで機器の一本化が進みランニングコストの削減につながるかもしれません。

IP無線機とほかの無線機の比較についても紹介している記事がありますのでぜひご覧ください。

MCA無線とIP無線機の違いとは?IP無線機のメリットについて徹底解説!

IP無線機やトランシーバーなと通信距離の目安を機器別に解説

 

【まとめ】無線機の運用をもっと簡単に

この記事では無線局免許取得の流れから、業務用無線として使われている機器について紹介しました。

どうしても金銭的なコストばかりに目が行ってしまい、運用にかかる手間を忘れて時間的なコストを見逃してしまうことがあります。

これから無線機の導入を考えている方はもちろん、すでに無線機を運用している方も買い替えのタイミングで免許が不要な機器を選択肢の一つとして取り入れてみてはいかがでしょうか?