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2022.02.14
防災

災害時に固定電話や携帯電話が使えなくなる理由は?代替手段も紹介

ここ数年、地震や台風、豪雨など様々な自然災害が日本を襲っています。いつ未曽有の自然災害が来てもいいように対策を取ることが重要です。

本記事では災害対策の中でもとても重要な、通信手段についてのお話です。大規模災害時には固定電話や携帯電話が混雑して使えなくなった事例が多数報告され問題視されていますが、その仕組みをご存知でしょうか?

記事の後半部分では電話に替わる代替ツールの紹介もしておりますので、災害時通信網の構築に役立てていただければ幸いです。

災害時に固定電話や携帯電話が使えなくなる仕組み

災害時にはたくさんの人が家族や友人の安否を確認するために電話をかけようとします。その数は平常時の数十倍のコール数になるともいわれています。

そして電話を行うためのインフラは平常時の数十倍に上る電話の発信回数を処理することができなくなることがあります。

このように一斉にたくさんの人が固定電話や携帯電話から発信することで通信インフラが混雑してしまう状況を「輻輳(ふくそう)」といいます。

輻輳とは

ここでは図を用いて輻輳のイメージをしてもらいます。

 

【中継交換機での処理が急増】

災害発生直後は被災地以外の電話から被災地に向けて安否確認の電話が大量に発生します。その際に被災地と非被災地の電話を中継する交換機に平常時以上の負荷がかかります。中継交換機がこのまま大量の電話を処理すると中継交換機が限界を迎えてしまう大変危険な状態です。

 

【制御装置へ輻輳通知】

中継交換機の処理が限界に達する前に、非被災地の交換機からの接続を制御する装置へ輻輳の通知を行います。

 

【接続料を制御】

制御装置から交換機に対してトラフィックの制限をかけ、中継交換機の負荷を軽減します。このときに電話回線をつなぐ数に制限が設けられることになり、電話が繋がりにくい状況が生まれるのです。

 

輻輳に関するイメージはつきましたでしょうか?

このように通信インフラがパンクすることを防ぐ目的もありますが、優先電話用にいくつかの空き回線を確保する目的も含まれています。

 

過去の災害では電話はつながったのか?

次は過去の大規模自然災害時に、どれだけ電話が使えていたのかを見てみましょう。今後同等の災害が来たときにどのような状況になるかがイメージできるでしょう。

 

東日本大震災での通信状況

まずは東北地方を襲った東日本大震災での通信状況を紹介します。

出展:東日本大震災における通信の被災・輻輳状況、復旧等に関する取組状況

URL:https://www.soumu.go.jp/main_content/000113480.pdf

こちらは総務省から出されている資料です。

①固定電話

固定電話はNTT東日本90%、KDDI90%、ソフトバンクテレコム80%と高い割合で通信が制御されていたことがわかります。

②携帯電話

携帯電話は音声通話とパケット通話の2種類で状況が報告されており、音声通話が通常の電話を指しています。

ドコモ90%、au95%、ソフトバンク70%とこちらも高い割合で音声通話の規制があったことがわかります。

 

熊本地震での通信状況

次は熊本県や大分県で大きな被害があった熊本地震での通信状況です。こちらは特に被害が激しかった熊本県益城町のデータです。

出典:IP 時代の災害と通信 ―熊本地震における通信の疎通状況とその背景―

URL:https://toyo.repo.nii.ac.jp/?action=repository_action_common_download&item_id=8950&item_no=1&attribute_id=22&file_no=1

固定電話は東日本大震災と同様80%~90%ですが、公衆電話はなんと100%に近い確率で利用できなかったというデータが出ています。

 

過去の事例を見てわかるように、大規模自然災害時は電話回線を使った音声通話に頼った連絡網はほぼ機能しないことが容易に想像できます。

 

過去の災害でSNSが活躍した理由

ここまでは電話回線を使った音声通話の脆弱性について表を見ながら解説しましたが、どちらの表にも災害時でも比較的利用できていたものがあります。

それらに共通することは「パケット通信」を利用したツールであるということです。

現在私たちが使っている通話は主に2種類の帯域を利用して通話を行います。まず一つは通常の電話で使う「音声帯域」もう一つはLINE通話やIP電話で通話を行う際に利用する「パケット帯域」です。

そしてこのパケット帯域を利用した通話は災害時に強いとされています。

 

それでは音声帯域とパケット帯域にどのような違いがあるのか見てみましょう。

 

【音声帯域を利用した通話】

音声帯域を利用した電話は一組の1対1の通話に対して、通信回線を一本使って通話するイメージです。

図のように電話が込み合うと順番待ちのような形になり、電話が繋がりづらい状況になります。

 

【パケット帯域を利用した通話】

対してパケット帯域を利用した通話は、音声をパケットという小さなデータに変換し、通話する人達全員で大きな回線を共有するようなイメージで通話を行います。

これにより、音声帯域よりもたくさんの電話を行うことができ、結果的に災害時にも通話ができるということになります。

パケット通信は電話だけでなく、メールやSNSでのやりとりにも使われています。

 

SNSの活用事例

過去の大規模自然災害ではパケット通信の優位性を利用して、TwitterやLINEなどで家族や友人の安否確認が出来たという話をよく聞きます。

一般の方同士のコミュニケーションという点では確かにパケット通信を利用したSNSを活用して連絡を取り合う方法は、ほかの手法と比べてもかなり優秀な手段であることは過去の実績からみても間違いなさそうです。

しかし、一般企業や自治体などの組織内での連絡網としてはいかがでしょうか。プライバシーやセキュリティの問題で少し話が違ってきそうです。

では、そういったケースで固定電話や携帯電話の代わりになる手段は何なのかについてお話しします。

 

代替の災害時通信手段の紹介

企業や自治体などの組織で災害時の通信使手段を確保するときに大事なポイントとして次のようなものが挙げられます。

①通信エリアの広さ

②通信の繋がりやすさ

③耐久性

④情報の共有スピード

 

最後にこれらの条件を満たす情報共有ツールをご紹介していきます。

 

IP無線機

①通信エリアの広さ

IP無線機はキャリアの通信を利用して通話を行うため、みなさんが普段使っているスマートフォンが使える場所であればどこでも通話を行うことが出来ます。

スマートフォンが欠かせない時代になったことも相まって、インフラがものすごいスピードで整備されるため、通信のクオリティも日々高くなっています。

 

②通信の繋がりやすさ

IP無線機はパケット通信を利用して通話を行うため、過去の事例を見てもわかる通り災害時に優位性があることがわかります。

 

③耐久性

地震や台風などの大規模自然災害の際は、機器の耐久性が必要になります。

防災用のIP無線機は防水防塵性能を備えたものが登場しており、水没にも耐えられるような機種も登場しています。

 

④情報の共有スピード

IP無線機をはじめとする無線機の一番の特徴は情報共有がとても素早く行るという点です。1対多数の通話を得意としており、グループ通話をメインに運用していきます。

またLINEなどのグループ通話と違い、全員が同時にしゃべることが出来るわけではないので、話すべき人が正しく音声を届けられるでしょう。

 

【災害対策におすすめのIP無線機】

ハンディ型IP無線システム IM-550

ハンディ型IP無線システム IM-530

 

衛星電話

①通信エリアの広さ

衛星電話は宇宙にある衛星を使って通話を行います。

パケット通信が行いづらい海上などでも利用できるので、特殊な環境で通話を行う可能性がある場合におすすめです。

ですが、屋内や都市部など障害物が多いと通信が不安定になるため、注意が必要です。

 

②通信の繋がりやすさ

衛星電話は使用条件が揃えば安定した通話が行えることに加え、通信インフラが宇宙に存在しているという点も見逃せないポイントです。

 

③耐久性

通常のスマートフォンや携帯電話に比べて耐久性の高いモデルも登場しています。

 

④情報の共有スピード

スピードに関しては無線機に劣るものの、通話が出来る条件が揃えば輻輳するようなリスクもほぼ無い状態で通話を行えるため、組織の重要人物数名の連絡ができれば問題ないようなケースでは十分対応できそうです。

 

【まとめ】電話が繋がらない仕組みを理解して最適な手段を選ぼう

本記事では災害時に固定電話や携帯電話での電話が繋がりにくくなる理由と、それを踏まえた代替ツールを紹介しました。

災害時に起こりうる状況を過去の事例からイメージしてしっかりと対策を立てることで、より強固な情報共有ネットワークを構築しましょう。

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