2022.12.08 BCP対策

【BCP策定義務化】介護施設における災害時の通信手段選定のポイント

日本では高齢化が加速し、高齢者を対象とした介護施設や事業所の需要が高まりを見せています。高齢者やその家族の生活で欠かすことのできない介護サービスで、BCP策定が義務化されました。

本記事ではBCPの概要と、BCP策定において重要なポイントとなる通信手段の確保にフォーカスして大規模災害時や緊急時に有効な通信手段をご紹介します。

介護施設・事業所のBCP策定が義務化

 

“感染症や災害が発生した場合であっても、必要な介護サービスが継続的に提供できる体制を構築する観点から、全ての介護サービス事業者を対象に、業務継続に向けた計画等の策定、研修の実施、訓練(シミュレーション)の実施等を義務づける。”

引用/厚生労働省|令和3年度介護報酬改定における改定事項について

 

厚生労働省による「令和三年度介護報酬改定」にて介護施設・介護事業者に対するBCP策定と、それに伴う訓練や研修の実施が義務化されました。自然災害が頻発する日本において企業のBCP策定はとても重要ですが、その中でも医療や介護では従業員の安全に加えて、患者や施設利用者の安全を守らなければなりません。こういったことからも他業種よりもBCP策定の緊急度が高くなることは自然な流れのように思えます。

今回の義務化で介護施設や介護事業者は2024年からBCP策定義務が生じます。また現時点で策定しなかった場合の罰則等は定められておりません。

 

次の章では「BCP」とは何なのか、普段の業務では聞きなれない「BCP」について簡単に説明します。

 

BCPとは

大地震等の自然災害、感染症のまん延、テロ等の事件、大事故、サプライチェーン(供給網)の途絶、突発的な経営環境の変化など不測の事態が発生しても、重要な事業を中断させない、または中断しても可能な限り短い期間で復旧させるための方針、体制、手順等を示した計画のことを事業継続計画(Business Continuity Plan、BCP)と呼ぶ。

引用/事業継続ガイドライン-あらゆる危機的事象を乗り越えるための戦略と対応-平成 25 年8月改定)

 

BCP(Business Continuity Plan)は上記のように定義づけられています。

大規模災害時、介護施設では施設内の備品が破損したり、イレギュラー対応が必要な場面が頻発することによる人手不足など、利用者へのサービスが行き届かないといった状況も想定されます。

しかし介護サービスの停滞は利用者の命を左右すると言っても過言ではありません。介護職員の安全、そして利用者の命を守るためのBCP策定はサービス品質に直結する重要な要素になります。

 

災害時における通信手段の重要性

災害時に介護施設・事業所に求められることは下記のような点です。

・サービスの継続

被災時にも利用者に対してサービスを提供し続ける

・利用者の安全確保

体力の弱い高齢利用者の安全を守るための対策を講じる

・職員の安全確保

介護職員の過労対策、メンタルヘルス対策を講じる

・地域への貢献

施設が持つ強みを生かし、地域の対応に協力する

参考:介護施設・事業所における自然災害発生時の業務継続ガイドライン

 

そして上記を実現するためには「正確な情報集約と判断ができる体制を構築」することがBCP策定のポイントであるということがガイドラインに記載されています。

災害時は関係各所とのコミュニケーションが頻繁に発生し、たくさんの情報が飛び交います。施設の被災状況、従業員や利用者の被害状況、送迎車両の運行状況など他にもたくさんの情報を正確に把握しなければなりません。

災害時に自社の状況を正確に判断するためには

・災害時に強い通信手段の整備

・情報共有体制、フローの整備

がとても重要になります。

 

普段PHSやスマホでの電話で業務連絡を行っている場合は、回線の混雑により電話がつながりにくい状況になります。加えて、1対1での連絡では情報共有に時間がかかり、事業の継続が困難になることもあります。

そういった状況に陥っても介護事業を継続させるために有効な「災害時に強い通信手段」があることをご存知でしょうか?

次の章では既に自治体や医療機関など他業種で災害時の通信手段として導入が進んでいる機器をご紹介します。

 

BCP策定における通信手段の選び方

BCP策定において重要なポイントである情報集約体制の整備。

情報集約のために必ず必要なのが災害に強い通信手段ですが、具体的にどのような通信手段が望ましいのでしょうか?通信手段の選定には次のような点に注意する必要があります。

 

・災害時につながりやすい

これは当たり前ですが、災害時に電話回線が混雑した状況でもつながる可能性が高い機器を選定しましょう。とはいえ、100%つながるという保証がある機器は存在しません。複数の通信手段を組み合わせたり、施設があるエリアの特徴から通信が確保できる可能性が高い機器を選ぶといった判断が必要になります。

 

・グループ通話や一斉通話に対応

たくさんの人に対して一斉に情報を共有できるということが、情報共有のスピードを格段に向上させるポイントになります。

平常時から災害時の情報共有フローをしっかりと検討し、指示系統の設定やグルーピングを行うことで円滑なコミュニケーションをとれるようになるでしょう。

 

・操作が簡単

災害時は誰もが少なからずパニック状態になります。日々の訓練で操作の習熟度を上げる機会はあるかもしれませんが、直感的に誰でも操作できることが重要です。

もし災害時だけでなく日々の業務でも活用できるような通信手段であれば災害時の通信手段として活躍する可能性も高くなるでしょう。

 

 

介護施設の災害時通信手段にはIP無線機がおすすめ

先ほど紹介した災害時の通信手段を選ぶ時のポイントを満たしているのが、近年注目されているIP無線機です。介護施設や医療機関だけでなく官公庁や自治体でも導入が進んでいま。

 

ここではIP無線機が災害時の通信手段におすすめである4つの理由をお伝えします。

 

通信エリアが広く、災害時にも通信制限を受けにくい

IP無線機はNTTドコモ、ソフトバンク、auなどのキャリアのインフラを利用してパケット通信で通話を行います。東日本大震災などの大規模災害時に固定電話やスマホでの電話ができなくなり、安否確認ができなかったという事例が多発しました。一方でパケット通信を利用したIP無線機や、LINEでは連絡を取ることができたという事例が多く、災害時でも制限を受けづらいことが分かります。

また、デジタル簡易無線機など他の無線機に比べると高音質で音声のやり取りができるため、とてもスムーズに通話を行うことができます。

 

また携帯キャリアのインフラは信頼性が高く、日々品質の向上が図られています。

 

多彩な通話モードを搭載

「LINEと同じ通信ならLINEでいいんじゃないの?」

そう思った方も多いと思います。

LINEと比べてIP無線機が災害時の通信手段として優れている点があります。それは情報集約・共有を円滑に進めるための様々な通話モードが活用できるという点です。

例えば、優先度の高い支持をする可能性が高い無線機には優先度設定をつけることができる「強制通話」。他にも近くにいる人と通話を行うことができる「周辺通話」や、予め情報共有フローに沿って作成したグループ内で通話を行うことができる「グループ通話」など活用の幅は多岐にわたります。

IP無線機のつわもーどについて詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。

 

直感的な操作が可能

IP無線機は端末についているボタンをワンプッシュするだけで通話を開始することができます。

導入時にあらかじめ設定を行うことで、毎回発信先を選ぶ必要がなくなります。また、受信側も受話操作が不要で他の作業をしながらでも重要な情報を聞くことができます。

送迎者では端末が操作できない場面も多々ありますが、そういった場合にもスピーカーがついていて受話操作が不要な無線機のメリットを感じることができるでしょう。

 

平常時の業務でも活用できる

最後にIP無線機は通常業務でも活用することができます。スマホが使える場所であればどこでも通話ができるため、

・スタッフ間の連絡

・施設と送迎車両の連絡

・イベント運営

など無線機による通話を活用できる場面は多々あります。

加えて業務で使う送迎車両の位置情報をリアルタイムで管理することができる動態管理システムを無料で利用することができ、車両管理も行うことができます。

平時から機器を使い込むことによって緊急時でも正確な操作を行えるようになるでしょう。

 

【まとめ】

本記事では介護施設・事業者のBCP策定における通信手段の整備について紹介しました。

大規模な自然災害はいつ発生するかわかりません。なるべく早くBCP策定に取り掛かりましょう。