2022.07.28 IP無線機

IP無線機のデメリットとは?購入前に確認するポイントを紹介

最新の業務用無線機として注目されているIP無線機。通信距離の制限もなく、音声も高品質ですが、導入前にデメリットについても理解しておく必要があります。

・IP無線のメリットはよくわかったけど、デメリットはないの?

・通信障害の時は使えるの?

・他の業務用無線と比べてどっちがいいかわからない!

そんな方はぜひこの記事を読んで無線機選びの参考にしてください。

IP無線機のデメリット

月額費用が掛かる

IP無線機を利用するためには毎月利用料を支払う必要があります。これはデジタル簡易無線機や特定小電力無線などの業務用無線機とは通信方式が全く異なるためです。

IP無線機は端末の中にSIMカードが入っており、キャリアのインフラを利用してデータ通信を行います。皆さんが普段利用しているスマホと同じ仕組みですね。

月額利用料はメーカーによって差があるため、各社から見積を取って比較してみるといいでしょう。

見積を取得する際は使いたい機能をしっかりと伝えたうえで、買取とレンタルどちらを希望するのかをしっかりと伝えておきましょう。

月額費用は固定費として契約期間中に必ず発生する費用となりますので、検討段階でしっかりと情報収集しておくことをおすすめします。

高機能なIP無線機の通話で得られるメリットと、それに伴って発生するランニングコストというデメリットのバランスが業務の内容に合っているかしっかりと確認しておきましょう。

 

海上や山間部などでは通信できないことも

月額費用のところで説明しましたが、IP無線機はキャリアのインフラを利用して通話を行います。これには大きなメリットもありますが、もちろんデメリットもあります。

スマートフォンが使える場所であればどこでも通話ができるIP無線機ですが、逆を言えば各キャリアのサービスエリア外では通話が行えないということになります。

具体的にどのような場所に弱いかというと圏外になってしまうような山間部、地下、海上の沖合などです。

各キャリアもサービスエリアの拡大に力をいれていますし、日本全国ほとんどの場所でインターネットが使える環境になっていますが、特殊な環境での利用を検討している方は、契約前にデモ機を借りるなど事前の確認が必須となります。

※Wi-Fiで補完することも可能

 

通信障害などの影響を受ける

頻繁に起こるものではないですが、キャリアで通信障害が起きてしまうとIP無線機の通話ができなくなってしまう可能性があります。

最近では2018年に発生したソフトバンクによる大規模通信障害や、2022年に発生したKDDIの通信障害などがあります。

またこれまで経験したことのないような超大規模自然災害が起こった場合もアクセス過多により通信が不安定になってしまうこともあるかもしれません。

キャリアの通信障害については頻繁に起こるものではありませんし、各社がしっかりと対策を進めている状況です。

しかし、万が一のことがあるということも忘れてはいけない大切なポイントです。

 

IP無線機のメリット

ここまでIP無線機のデメリットを確認しましたが、それでも年々IP無線機を導入する企業がえている理由はどこにあるのでしょうか?

通信範囲がとても広い

IP無線機はパケット通信を利用して通話を行います。これにより普段私たちが利用しているスマートフォンと同じ感覚で無線機での通話を行うことができます。

メーカーによって採用しているキャリアが違うため、業務を行うエリアでしっかりと通信が確保できるキャリアを採用しているか確認しておくことをおすすめします。

3台キャリアのサービスエリアは下記から確認できます。

通信・エリア | NTTドコモ

サービスエリア | スマートフォン・携帯電話 | ソフトバンク

エリア | スマートフォン・携帯電話 | au

通話モードが多彩

IP無線機は一斉通話やグループ通話の他にも様々な通話モードを利用できます。

ここではモバイルクリエイトの業務用IP無線システムiMESHの通話モードを一部紹介します。

この他にも業務内容によって使い分けることで業務効率が大幅に向上する便利な通話モードが用意されています。

位置情報の管理が可能

パケット通信を利用するIP無線機は通話以外の機能も充実しています。

メーカーによってさまざまな機能がありますが、代表的なものとしてGPSで位置情報を管理できる動態管理機能があります。

活用方法は業種によって様々ですが、車両が絡む業務や災害時の活用では大きなメリットとなります。

免許の取得、更新が不要

IP無線機は無線局免許を必要としません。デジタル簡易無線などの場合、利用開始時に免許の取得する必要があり、また5年に一度再申請が必要になります。無線機を管理する担当者が変わったり、申請の様式が変わったりするとこの作業に意外と手間がかかります。

IP無線機ならこのような煩わしい免許管理が必要ありません。

免許不要の無線機が気になる方はこちらの記事も参考にしてください。

免許不要の無線機を用途別に紹介!業務用に最適な無線機はどれ?

常に最新の機能が使える

皆さんが普段使っているスマートフォンはソフトウェアのアップデートができ、常に最新の機能を利用できると思います。IP無線機ではそれと同じようにアップデートができます。

従来の業務用無線機は買った時の機能で使い続けなければなりませんでした。常に新しい機能を使えることで機種変更のコストを抑えられるかもしれません。

 

ほかの業務用無線機との比較

最後に代表的な業務用無線機とIP無線機のメリット・デメリットを比較してきましょう。

比較対象になりやすい機器と比較することで自社にとってはどの機器が最適なのかを改めて確認してみましょう。

業務用無線メリットデ・メリット比較表

特定小電力無線

特定小電力無線とはとても低い出力で通話を行う業務用無線機です。

みなさんが普段レストランやホテルなどでスタッフが使っている無線機を目にすることがあると思います。短い通信距離で業務が成り立つ場合、この特定小電力無線を活用するケースが多いです。実際の通信距離は数百mが限界と言われています。

利用にかかるコストも低く、とにかく安く無線機を導入したいという方におすすめです。

メリット
簡単に導入できる
免許が不要
導入費、維持費が安い
誰でも使える

デメリット
通信距離がとても短い
音質はよくない
遮蔽物にとても弱い

デジタル簡易無線

デジタル簡易無線は特定小電力無線に比べて通信距離が長くなった業務用無線機です。

最大5Wまで出力することができ、見通しの良い場所では数キロ離れていても通信が行えます。

利用には免許申請が必要で機器の購入から利用開始までに少し手間がかかります。月々のランニングコストは不要なので特定小電力無線同様コストをかけたくない場合におすすめです。

メリット
コストが安い
特定小電力無線に比べると通信距離が長い

デメリット
障害物に弱い
通信エリアが狭い
免許の取得、管理が面倒
音質が悪い

MCA無線

MCA無線は比較的最近登場した無線機で、デジタル簡易無線よりもさらに広いエリアで通話を行う必要がある場合におすすめです。

MCA無線機は中継局を経由して通話を行うため、数十キロ離れた場所でも安定した通話を行うことができます。これは一つの中継局を利用した場合ですが、2つ3つと増やしていけばさらに通信距離を延ばすことも可能です。

またマルチチャンネル方式で通信を行うため、通信が混雑した際に順番待ちになってしまう可能性があるという点は覚えておきましょう。

メリット
通信距離が広い

専用回線のため混雑しにくい

デメリット
通話時間に制限がある

通信エリアを広げるとコストがかさむ
順番待ちになる可能性がある

MCA無線とIP無線機についてもっと詳しく知りたい方はこちらの記事もおすすめです。

MCA無線機とIP無線機の違いとは?IP無線機のメリットについて徹底解説!

 

【まとめ】IP無線機導入はデメリットよりメリットが大きい

本記事では気になるIP無線機のデメリットについて紹介し、ほかの業務用無線機との比較を行いました。

特定小電力無線やデジタル簡易無線に比べるとコスト面で劣るものの、そのコスト以上に業務を劇的に効率化できる機能を有しているのも事実です。

無線機の選定では必要な機能を定めて、最適な機種を選ぶようにしましょう。