2021.07.27 IP無線機

IP無線機の特徴や使い方・他の無線機との違いを解説

IP無線機は携帯電話と同じ通信回線を使っているため、携帯電話がつながる場所であれば日本全国で通信が可能です。携帯電話やスマートフォンと違い1対多数の通話や、グループごとでの通話など様々な通話モードでコミュニケーションをとることができます。

今回は、IP無線機の特徴や使い方、他の無線機との違いを解説します。

IP無線機の概要

IP無線機とは、携帯電話やスマートフォンのと同じ通信回線を使用した無線システムです。従来の無線機での通信は、せいぜい半径5km範囲内が限度です。しかし、IP無線機なら、携帯電話がつながる場所であれば、日本全国どこでも通信が可能です。

 

同じ通信回線を使用する携帯電話との違いは、携帯電話が1対1の通話が基本であることに対し、IP無線機は1対1だけでなく、1対多数の通話が可能な点です。

事前にグループを作成しておけば、グループ全員との情報共有を効率的に行うことができます。

 

また、機種によってさまざまな機能を搭載している点も魅力のひとつです。

たとえば、工事現場などでも安心して使用できる防水・防塵性能や、GPS機能による動態管理、現場の状況を明確に伝達できる画像・動画送信機能などがあります。

 

 

IP無線機と他の無線機の違い

IP無線機と一般的な無線機の違いとしては、次の3つが挙げられます。

 

通信方法が異なる

無線機は通常、無線機端末同士が電波を送受信して通信します。通信の範囲は、機種の電波の強さによって異なります。電波が強ければそれだけ長い距離で通信できますが、最大出力+見通しよい場所という条件でも、最大で5km程度が限度です。

一方、携帯電話と同じ通信回線を使用するIP無線機は、携帯電話がつながる範囲であれば、日本全国で通信できます。たとば、北海道〜沖縄間でのコミュニケーションも可能です。

 

通話以外にも便利な機能がある

従来の無線機では基本的に無線機同士の通話しかできませんでした。しかし、IP無線機の場合、携帯電話と同じ通信網を利用することから音声通話以外の機能も利用できるようになりました。

例えばIP無線機のGPS機能を利用した動態管理システムや、外線との通話が可能なIP電話機能などが挙げられます。このような機能は無線通話によるコミュニケーションを更に円滑行うための機能として様々な場面で活躍します。

 

免許や登録の申請が不要

出力1W以上の無線機を使用するには、管轄の総合通信局への登録申請が必要です。手続きをせずに使用した場合、電波法第百十条により、不法無線局として1年以下の懲役または100万円以下の罰金を科せられます。[注1]

 

一方、IP無線機の出力は0.25Wのため、免許や登録申請が必要ありません。誰でも気軽に使用できます。

 

[注1]電波法 第百十条

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=325AC0000000131

 

 

IP無線機の活用シーン

通信範囲が広く、安定したクリアな通話が可能なIP無線機は、さまざまなシーンで活用されています。おもな活用シーンとしては、物流や産業廃棄業、生コンなど、車両を使って広範囲を移動する業務や、自治体などです。

今回は、物流と自治体での活用方法をご紹介します。

 

物流の業務効率化・スピードアップに

たとえば物流であれば、トラックに車載用のIP無線機、倉庫内の業務にはハンディ型のIP無線機を採用し、倉庫内とドライバー間でのスピーディーでスムーズな情報共有を実現します。GPS搭載の動態管理機能付きのIP無線機であれば、トラックの位置情報をリアルタイムで確認・管理できます。ルート見直しなどに活用すれば、業務のスピードアップにもつながるでしょう。

 

自治体のBCP対策として

自治体での活用方法としては、IP無線機のパンクしにくい通信回線を利用した、災害時のBCP対策が挙げられます。一斉通話で素早く効率的に情報共有できるほか、GPSによる動態管理機能を利用すれば、救助や復旧作業に携わるスタッフの行動をリアルタイムで確認することも可能です。

また、基地局を設置したり、免許の登録申請を行ったりする必要がないため、導入にかかる時間やコストを削減できるのも魅力のひとつです。

災害時には操作が簡単で、繋がりやすい連絡手段がとても重要視されます。実際に近年の豪雨や台風、地震など大規模な自然災害の際にもIP無線機が活躍しています。

 

 

まとめ

通話範囲が広いIP無線機電話は車両で広範囲を移動する業務におすすめ

携帯電話と同じ通信回線を使用するIP無線機は、通信範囲が広く、安定した通話ができる点がメリットです。機種によってはGPS機能による動態管理や画像・動画送信機能などが搭載されており、車両による広範囲の移動をする物流や産廃、自治体でのBCP対策などに活用されています。

 

従来の無線機では機能的に不足している部分がある場合、IP無線機の導入も検討してみてください。