2024.03.07 BCP対策

医療機関におけるBCPの役割や重要度と連絡手段確保の必要性

医療機関は、災害であっても医療を提供し、患者さんの命を守るために必要な対応が求められています。

そのために災害対策を策定し、計画して整備しておくことが必要です。この計画を事業継続計画(BCP)といいます。

医療機関におけるBCPの目的は、医療の提供、患者の生命を守るためですが、診察や処置、治療をするだけではありません。

医療を提供するために必要な医療設備の保全、情報管理の維持、医療従事者の安全確保といったことにも対応を取らなければなりません。

また、これらの体制を確かなものにするために、さまざまな訓練を繰り返し実施することも計画に含まれます。さらに、情報収集や支援の要請、患者の避難先や転院先の確保にも必要な通信機器の整備や維持管理も重要な計画のひとつです。

このような体制を確保するためにも、医療機関におけるBCPの必要性がより高まっています。

医療機関におけるBCPの必要性

BCP(ビジネス・コンティニュイティ・プラン)は事業継続計画の略で、災害や事故が発生した際に、被害を最小限に抑えて組織の重要な業務を継続するための計画です。

特に医療機関では、このBCPが非常に重要な役割を果たします。なぜなら医療機関は、人々の生命を直接的に支える重要な役割を果たしているため、医療を提供し続ける必要性があるからです。

医療機関は、地域社会において重要度が高く、災害時に需要が高まる性質を持つ業種であるため、BCP対策が求められています。

しかしながら、一般的な医療機関におけるBCP策定率は2割~3割にとどまっているのが現状です。適切なBCP対策は、患者の命を守り、地域医療を崩壊させないためにも必要不可欠で、緊急事態に対応するための重要なツールです。

医療機関のBCPには、災害対策全般、情報システムの復旧、スタッフの安全確保、患者の移送計画、連絡手段の確保など、多岐にわたる内容を含む必要性があり、定期的な訓練や見直しも重要な要素になります。

このようにBCPを適切に策定し、実行することで、医療機関は災害時の混乱を最小限に抑え、患者への影響を最小限に抑えることが可能です。また、BCPは医療機関の信頼性を高め、地域社会への貢献を強化するためにも効果があります。

参考:医療施設の災害対応のための事業継続計画(BCP)

医療機関のBCPに求められる具体的な計画とは

災害が発生した場合、医療機関では以下のような状況、事態が想定されます。

  • 指揮命令系統の混乱
  • 建物の損壊による機能制限や行動制限
  • ライフライン断絶による機能停止
  • 人員や医療資器材の不足
  • 帰宅困難者の大量発生
  • 通信手段の断絶

そこで医療機関のBCP策定では、「目標」、「範囲」、「実行体制」、「評価と改善」の4つのポイントを意識しなければなりません。

また医療機関のBCPには、求められる具体的な計画として、医療サービスの提供継続、医療資源の確保、患者や職員の安全確保、外部との情報共有手段や通信手段などを踏まえることが重要な課題となります。

さらに、実効性のあるBCPとするためには、以下のような項目を含むことが大切です。

  • 災害や事故のリスク分析と対策
  • 緊急時の組織体制と役割分担、事後対応と復旧計画
  • 緊急時の医療資源の確保と配分、医療サービスの優先順位と基準
  • 緊急時の患者や職員の安全確保と支援
  • 緊急時の連絡体制と情報共有、外部協力機関との連携

これらをどのようにBCPへ具体的に盛り込んでいくかが課題となります。

災害対策本部にて被害状況の把握

災害発生時の医療機能の維持には、混乱を防ぎ、伝達される情報を確かなものとするため、指揮命令系統の確立による統制を図ることが大切です。

・状況の把握と対応策の検討

医療機能の維持には、どのような災害や事故が発生したのか、ライフラインやシステムの障害状況、患者と職員の安否などを把握することが重要です。

なぜなら災害の規模や事故の内容、電力などの制限、利用可能なシステム、活動できる医療人員によって、今後の対応策に幅が生まれるため、まず状況の把握が必要となります。

・回復に向けた対策計画

医療機関のBCPに盛り込む回復に向けた対策計画は、社会的信頼の担保としても重要であり、患者の安全と健康を守るために積極的な対策計画が必要です。

職員の召集ルールの策定:非常時には人員の確保が重要となります。電力供給の制限やシステムダウンが想定される状況では人海戦術が求められるからです。

そのために医療人員の確保が重要になります。職員の招集を円滑に行うためのルールを策定しておきましょう。

業務優先順位を立てる:それぞれが判断して業務を行うのではなく、確立された統制に従い医療提供の優先順位を明確にすることが大切です。これによって限られた医療資源や状況でも初動対応、避難経路の確保、救急患者の対応などが可能となります。

これらを軸に、できる範囲で医療機能の維持を続けながら、ライフラインの復旧見込み等に合わせて業務の回復に向けた対策が取れるように計画しておくことが重要です。

災害対策本部にて被害状況の把握

災害発生時の患者の安全を確保するための対応計画の策定が必要です。医療機関の職員とは異なり、情報が届きにくいために不安になったり、行動に制限がないため危険な区域へ侵入したりすることなどを踏まえた計画が欠かせません。

・患者の安全確保するための計画

これには患者の安全を確保するため、一時避難場所の設定、誘導・避難訓練の実施、健康管理、心理的ケアなどが含まれます。

・患者の移送計画

災害発生時に、患者を他の医療機関に移送することも想定されます。そのために必要な移送先の選定方法、移送手段の確保方法、患者の情報共有方法など、移送に必要な調整手順を策定しておくことが重要です。

・非常時のインフラ対策計画

建物の耐震性や非常時のライフラインの確保に対応するための計画の策定が結果的に患者の安全確保にも繋がります。

デジタル化されている医療機関では、電力供給の停止やシステム障害が発生した際の情報システムの復旧計画を策定します。これには、バックアップの取得、代替システムの利用などが含まれます。

災害対応マニュアルの作成と運用計画

医療機関のBCPは、単なる書類ではなく、実際に機能するものでなければ意味がありません。経営者や職員は、BCPの重要性を認識し、効果的なBCPの策定と実行性のある運用計画が必要です。

そのためには、災害対応マニュアルを作成し、繰り返し実施する災害訓練での課題を踏まえ、災害対応マニュアルと連動性を持ったBCPの策定と運用計画が重要になります。

またBCPは、常に最新の情報や状況に合わせて見直しや改善を行う必要があり、災害や事故に備えるだけでなく、医療機関の品質や効率の向上にも努めなければなりません。

医療機関におけるBCPの役割と重要度の確認

医療機関は、人々の生命と健康を直接的に支える役割を果たすため、災害や事故が発生した場合でも、医療サービスを継続することが求められます。医療機関のBCPは、そのような緊急事態に対応するためのとても重要な役割を持つツールです。

医療機関がBCPを適切に策定し実行することは、災害時の混乱を最小限に抑え、患者への影響を最小限に抑えることができます。

またBCPを策定している医療機関は、サービスの安定性により信頼性を高め、地域社会への貢献強化に役立てることが可能です。またBCP策定と運用を通じて、組織の危機管理能力やチームワークを向上させることもできます。

医療機能を維持・回復するための連携訓練

近年、地震や風水害などの大規模な自然災害が多発しており、いつどこで災害が発生するか分からないため、BCP対策を疎かにすることは事業継続を難しくします。

災害発生時の医療サービスの提供の維持には、指揮命令系統の確立が大切で、状況の把握と対応策の検討、回復に向けた対策計画が必要だとご紹介しました。

医療機関で意識すべきBCP対策のポイントは、患者の命を守り、地域医療を崩壊させないための連携です。医療機関には、災害発生後だけ対応すれば良いのではなく、24時間後から72時間後のフェーズで医療需要が急増することを想定し、状況に対応できる体制を構築しておくことが重要になります。

そのためには、災害対応マニュアルとBCPが適切に運用可能か、確認できる訓練を繰り返し実施することが必要です。特に、医療機能を維持するためには、病院内連携、行政・病院間や病院・病院間の連携訓練が欠かせません。

連絡方法や調整方法といった各機関間での取り決めなど、災害時の課題の抽出にも繋がるよう、有意義な訓練とすることが重要です。 またこのような課題解決への取り組みは、実効性あるBCPを策定していくことに繋がります。

シチュエーションごとの患者安全確保訓練

医療機関のインフラ対応は、医療機能を維持・回復することと同様に重要です。特に非常用電源は、透析装置や心肺維持装置などの医療機器、電子カルテなどの個人情報システムを継続的に使用するために確保しておくことが必要になります。

インフラ対応は、医療機関の機能回復スピードに直結し、医療需要が急増した場合にもスムーズな対応が取りやすいため、患者の安全確保訓練には欠かせない要素です。

患者の安全確保訓練としては、避難やトリアージなどの訓練が主となりますが、さまざまなシチュエーションで役に立つインフラ対応訓練も、結果的に患者の安全確保に繋がっています。

また自施設でインフラの維持や非常用電源を確保できない場合は、行政などへ給水車や電源車の派遣要請などをかけることが必要です。

災害対応マニュアル運用確認訓練

効果的なBCPの運用には実行性が伴う必要があります。そのために災害対応マニュアルが正しく機能するか、繰り返し災害訓練を実施することが重要です。

災害が発生した場合に、災害対策本部で迅速かつ効果的に対応するための手順、緊急連絡網や役割分担を運用するための通信手段の確保、さまざまなシチュエーションで優先順位の決定などの対応判断がスムーズに行えるかを訓練にて明確にしておくことが必要になります。

医療機関のBCPにおける連絡手段確保の必要性

医療機関のBCPは、災害や事故による影響を最小限に抑え、患者や職員の安全確保、医療サービスの提供継続、医療資源の確保などが重要な課題となります。

そのためBCPには、それぞれの課題に対応できる計画や訓練を盛り込むことが必要であるとご紹介しました。その中でも、連絡手段の確保計画や通信訓練は重要な要素の一つです。

災害や事故が発生した際に適切な通信手段を確保しておくことは、事態の発生や状況の変化を素早く把握することができ、医療機関内部のスタッフ間、または他の医療機関や関連組織との迅速かつ適切な対応を可能にします。

具体的な連絡手段の確保には、電話、インターネット、無線通信など手段が想定されますが、これらが利用できない場合の代替手段も考慮しておくことも必要になります。

さらに、通信手段が利用できるように非常用発電機の準備や衛星電話などバックアップ用の通信手段を備えておくことも有効です。

また通常時から、医療機関内外の関係者との連絡先や連絡方法を明確にしておき、訓練等を実施して取り決めなど運用方法の確認もしておくことが重要になります。

連絡手段を確保することによって、医療機関は災害時の混乱を最小限に抑え、患者への影響を最小限に抑えることが可能です。これが医療機関におけるBCPの役割であり、連絡手段確保が医療機関の事業継続性や回復力を高めることにつながります。

災害時における関係各所への一斉連絡、スタッフ間での一斉連絡におすすめなのがIP無線機です。

IP無線機について興味のある方はこちらの「IP無線とは?無線やインカムなど他の機器との違いを詳しく解説」をご覧ください。

医療機関のBCPには連絡手段の確保を盛り込むことが重要

医療機関のBCPは、災害などが発生した場合に医療サービスを継続するための重要な計画です。通信手段が利用できない状況を想定し、代替手段の準備が重要となります。

医療機関内や外部との連絡、患者への影響を最小限に抑えるための迅速かつ効率的な対応には連絡手段の確保が欠かせません。どのような状況下でも医療サービスを継続し、患者さんの安全と健康を守ることを考慮に入れたBCPの策定と実施に取り組むべきです。