2024.09.12 防災
地震を想定した災害対応訓練のポイントは目的とフィードバック
目次
地震のリスクと災害対応訓練の重要性
地震は、予測することが難しく、突然発生する自然災害の一つです。特に日本は、複数のプレートの境界が接していることもあり、世界有数の地震多発地域であります。
そんな避けることが難しい地震災害では、被害を少しでも軽減するための知識・スキル・経験が不可欠です。そのため災害対応訓練は、減災に役立つ知識・スキル・経験を養うための対策として。非常に有効だと言えます。
誰もが被災者になる可能性があることを忘れずに、防災・減災への行動を起こすことが大切です。仮に、防災対策マニュアルを作成していたとしても、個人の防災・減災意識が低い状態では、十分な備えができていることにはなりません。
より多くの人に防災・減災への取り組みを理解してもらうためには、目的意識を持ち、評価とフィードバックすることを意識し、災害対応訓練への参加を進めていく必要があります。
災害対応訓練を実施するにあたってのポイントとは
災害対応訓練を充実させて成功に導くためには、訓練の目的と訓練内容に対してのフィードバックに重点を置くことです。ただマニュアルに沿って手順をこなすだけの訓練とならないようにすることが重要になります。
訓練の進め方について、正解や不正解で判断するのではなく、マニュアルに沿って行動することで、適切な対応ができるのかどうかを確認することがポイントです。
つまり、災害時の行動を示した災害マニュアルやアクションカードなどの充実度が訓練において重要だといえます。
訓練の目的と目標設定
災害対応訓練は、災害マニュアルやアクションカードなどを活用して、災害発生時にどのように行動するのかを確認するためのシミュレーションという位置付けであると言えるでしょう。
そのため災害対応訓練の最大の目的は、災害マニュアルやアクションカードの改善点、訓練内容の課題、想定している対応策の問題点を抽出することになります。
つまり災害マニュアルやアクションカードを活用して行動すれば、適切な対応がとれるようになっておくことが災害対応訓練の目標です。
訓練の頻度とタイミング
災害対応訓練は、季節ごとや半年に一度など、定期的な実施を計画することが重要です。
訓練を繰り返し実施して、多くの経験を積むことは大きなメリットになります。
しかしながら、目的意識を持ち、評価とフィードバックすることが災害対応訓練のポイントであることを踏まえると、訓練後のフィードバックに取り組むスケジュールも考慮して、計画を進めていくことも必要です。
訓練の種類とシナリオ設定
災害対応訓練では定期的な開催も重要ですが、訓練の種類やシナリオを多様化させることが重要です。
昼間の訓練だけでなく、夜間や休日を想定した訓練も実施することで、さまざまな状況に対応できるようになります。また、地震だけでなく、津波の有無や火災発生など、複合的な災害を想定したシナリオを設定することも効果的です。
災害対応訓練は、災害時に適切な行動を取るための事前確認活動になります。
適切な行動を取るためには、あらゆるケースを想定した訓練内容の準備が大切です。災害による被害を軽減するためには、より多くの災害対応訓練に参加し、知識やスキルを身に付ける必要があります。
・安否確認訓練
助けを必要としている人を把握し、速やかに救出を行うための訓練です。
・災害対策本部運営訓練
災害時には、「情報の集約」や「活動の優先度」を判断する災害本部を設置しなければなりません。災害対策本部を設置する手順の確認や本部運営活動を行う訓練です。
・応急救命訓練
応急救命訓練とは、心肺蘇生法やAED(自動体外式除細動器)の使い方、怪我人の搬送方法などを学ぶための訓練です。心肺蘇生法やAEDなどを使用できれば、多くの命を助けることに繋がります。一人ひとりが対応方法を理解しておくことが不可欠です。
・避難誘導訓練
大規模な災害時は、避難経路や避難場所の一部が使えなくなる可能性があるため、災害に備えて多くの選択肢を考えておく必要があります。避難誘導訓練では、複数の避難経路や避難場所を事前に設定して実際に移動するため、災害時のリスクを大幅に軽減できます。
・災害対応図上訓練
「災害対策本部運営」、「避難所運営訓練」などを、図上で確認するための訓練が「災害対応図上訓練」です。実際に起こり得る可能性が高い災害などを想定し、災害発生時の対応などを図上でシミュレーションするため、より多くの想定での訓練を体験することもできます。
【総合防災訓練大綱とは:https://www.bousai.go.jp/taisaku/sougou.html】
災害対応訓練の目的と目標設定に合致した準備とは
改善点・課題・問題点の抽出が目的であり、適切な対応がとれるようにしておくことが目標である災害対応訓練をより効率的に実施するためには、事前の準備がポイントとなります。
訓練において、参加者が役割を果たし、目的達成したかを評価するからには、作成する訓練計画の充実度とマニュアルに則した物品と設備の準備が欠かせません。
災害対応訓練計画の作成
訓練では、マニュアルの内容に対して改善点や問題点、課題へのフィードバックを求めるわけですから、マニュアルで想定されている内容を踏まえた訓練計画の作成が重要です。
さらに効果的な訓練とするためには、具体的な災害状況の想定が不可欠になります。曖昧な内容では、参加者も当事者意識を持って、訓練に取り組むことができません。
特に、建物やライフライン・交通機関などの被害状況は、より具体的に設定することが大切です。また計画には、目的や目標を設定すること、訓練後に評価することも含めることも意識しましょう。
参加者の役割と目的達成責任の明確化
災害対応訓練計画やシナリオに沿った充実した訓練とするためには、参加者に当事者意識を持ってもらうことが大切です。また積極的に訓練に取り組むために、参加者が役割を理解することもポイントだといえるでしょう。
これによって訓練参加者も目的達成意識を持ち、明確なゴールを目指すことができます。
マニュアルに則した物品と設備の準備
災害対応マニュアルには、災害発生時にどのように対応するかだけでなく、準備すべき物品も記載されています。
また記載されていない物品であっても必要となる物品もあります。例えば災害対策本部設置の場合、ホワイトボードや付箋は準備すべき物品だと記載されているかもしれません。
しかしながら、テーブルやイスまで記載されていないこともあるでしょう。そのため訓練の場合は、マニュアルに則した物品と設備を準備しておかなければ、うまく訓練進行できないことも考えられます。
【防災対策制度:https://www.bousai.go.jp/taisaku/】
災害対応訓練の目的共有とフィードバックの重要度
災害対応訓練は、災害マニュアルやアクションカードを活用して、適切な行動がとれるようにするために繰り返し実施します。
そのために訓練に積極的に参加して、訓練シナリオのさまざまなシチュエーションで、災害マニュアルやアクションカードの具体的な運用を経験し、活用する術を身に付けるわけです。
ですから災害対応訓練の目的は、マニュアルの改善点、訓練内容から見えた課題をフィードバックすることになります。判断や対応の正解や不正解を問うのではなく、目標が達成できたか、訓練のどこに課題があるか、訓練想定にどのような問題点があるかなどを評価することが重要です。
訓練目的の共有と参加者への事前説明と教育
先ほども触れたように、訓練では目標が達成できたか、訓練のどこに課題があるか、訓練想定にどのような問題点があるかを評価します。そのため災害対応訓練までに、訓練目的の共有と参加者への事前説明と教育が欠かせません。
目的の共有、事前説明、訓練に関する教育の提供は、積極的な訓練参加を促し、より多くの議論を生み、幅広い選択肢をもたらします。
せっかくの訓練の機会を最大限活用するためにも、事前の打ち合わせを大切にしましょう。ただし、具体的な詳細まで公開すると訓練効果が減少してしまう可能性があるので注意が必要です。
シナリオ設定に基づいた訓練進行と手順
訓練進行と手順に欠かせないのが訓練シナリオです。訓練の設定条件から、どのような被害やどのようなシチュエーションが発生するのかを予想して作成します。
シナリオは、訓練の方向性を誘導していく役割がありますが、ある程度の自由度を持ったシナリオにしておく方が自主性の高い運用が可能です。
ただし、シナリオを作成する際には、災害マニュアルやアクションカードに基づく行動シミュレーションから大きく逸脱しないことを忘れてはいけません。
災害対応訓練参加者からのフィードバック
災害対応訓練終了後には、参加者からのフィードバックを収集することが重要です。
このフィードバックは、口頭での質問形式ではなく、アンケート調査などを実施して用紙に記載してもらうことをおすすめします。用紙に記載してもらう方が、より具体的なフィードバックが得られて、改善すべき訓練の改善点や問題点の傾向を掴むことも可能です。
訓練目標達成度の分析と今後に向けた改善策の提案
災害対応訓練参加者から得られたフィードバックは、報告書にまとめてもほとんど効果はありません。
災害マニュアルを改善するためのフィードバックであり、今後の災害対応訓練を充実させるための貴重な意見です。すなわち、目標達成度の分析をして、今後に向けた改善策の提案をして災害対応訓練が完了となります。
まとめ
地震を想定した災害対応訓練は、迅速かつ適切な対応を可能にし、被害を最小限に抑えるために重要です。
訓練の目的と目標を明確にし、定期的に実施することで、参加者の意識を高め、実際の災害時に迅速に対応できるようになります。
また、訓練の種類やシナリオを多様化させ、参加者の訓練後の評価とフィードバックを通じて、訓練の質を向上させることが重要です。
これにより、災害訓練への当事者意識を持ち、防災意識を向上させ、被害を最小限に抑えられる環境を整えることができます。