2021.03.26 コラム

無線機を活用してできることや用途別の選び方を詳しく紹介

携帯電話が広く普及しているなか、古くからの通信手段である無線機も着実に進化を遂げています。携帯電話より便利な点もありますので、ぜひ無線機のよさをチェックしてみましょう。

本記事では、無線機を活用してできることや無線機の種類、選び方などについて解説します。

無線機を活用してできるようになること

まずは無線機を活用してできることを3つご紹介します。

1.一度に多くの人と通信できる

無線機ならではの特徴として、一度の通信で多くの人と同時に会話できるという点があります。

最近ではグループ通話ができる機種もありますが、携帯電話では、基本的に1対1の通話しかできません。それに対して、無線機の場合は複数人が同じチャンネルで接続していれば、1つの無線機からすべての無線機に対して話しかけられるのです。伝達事項が円滑に伝わりますし、話の脈略を常に把握できるという利点もあります。

 

2.災害時に活用できる

携帯電話は、全国どこでも通話エリア内であれば利用できるというメリットがある一方で、通話機能は基地局の能力に依存しています。特に困るのが災害時で、災害で基地局が被害を受けると、そのエリアでの利用が困難になります。

また、回線が混雑すると、つながりにくくなるケースが多いです。災害現場で連絡を取ろうとしても、携帯電話では円滑につながらないことが想定されます。

そこで役に立つのが、無線機です。無線機では、端末同士で直接やり取りできるタイプもあり、お互いの電波が届く範囲であればどこでも通信できます。基地局などのインフラに依存することなく通信が可能になるので、いざというときのライフラインとしても活用できるのです。

 

3.日々の情報共有ができる

遠隔地で業務する社員同士でコミュニケーションをとるには、通信手段に頼るしかありません。

しかし、運転中に携帯電話を使用するのは禁止されています。そこで、運転中に運転手同士が会話したい場合などに活用できるのが無線機です。車載用モデルの無線機なら、ドライブ中でも安全に無線で会話を行えます。

最新のIP無線機では、音声だけでなくメッセージ送信や動画のやり取り、位置情報の共有も容易です。例えば、位置情報付きで交通渋滞情報を共有化することで、目的地までより円滑に移動することが可能となるでしょう。

他にも、IP無線機の中には勤怠管理システムを備えた機種もあります。これを活用すれば、みなし労働制を採用しなくても、正確な勤怠時間の管理を行えるのです。

昨今、働き方改革で勤務時間に対して厳しい目が向けられている中で、ぜひ活用したい機能の1つです。

 

そもそも無線機の定義とは?

無線機とは無線通信ができる機器のことで、受信機と送信機が一体型になったものと、受信機、送信機が各々独立している機器があります。

独立型においては情報を送信するだけであったり、情報を受信したりするだけのどちらかしか対応していません。

一体型は、受信も送信もどちらも可能であり、固定型無線機や移動型無線機といった比較的大型のものもあれば、小型の携帯型無線機まで幅広い種類があるのが特徴です。広く知られているトランシーバーも一体型無線機の1つです。

 

無線機の主な種類

無線機は、主に以下4つの種類に分類されます。

  • 特定小電力無線
  • 簡易無線
  • デジタル・アナログ簡易無線
  • IP無線

それぞれの特徴について解説しましょう。

 

特定小電力無線

特定小電力無線とは、簡易無線に比べ低出力なタイプで、筐体自体も小型であることが特徴です。

通信可能距離は100~500mと短いですが、低出力であるために利用するための免許や基地局開設の申請も不要です。筐体さえ準備すればすぐにでも運用開始できるというメリットがあります。

また、ランニングコストがかからないという点も魅力的です。

 

簡易無線

特定小電力無線をより広範囲で利用でき、簡易基地局向きの無線機です。通信距離の目安は1km~3kmで、同じエリア内で業務を行う際に広く活用されています。

使用周波数は30chで、登録人以外が使用するケースでは、無線の運用の特例に係る届出書の提出が必須です。

登録局にはキャリアセンス機能が付属しているので、送受信が制御されるケースもあります。

 

デジタル・アナログ無線

デジタル・アナログ簡易無線は、使用周波数が100波でアナログ35ch、デジタル65chです。アナログとデジタルの切り替えによって、既存のアナログ免許を保有されている方との通信も可能です。

利用するためには免許が必要となります。

 

IP無線機

最も新しい無線機の種類がIP無線です。携帯電話網を用いてデジタルデータや音声通信を行うサービスなので、免許は必要なく、携帯電話がつながるエリアであれば、全国どこにいても利用できるという点が魅力的です。

また、携帯電話やスマートフォン同様に、音声だけでなくデータの送受信も容易で、それに対応したサービスも続々と提供されています。

 

【用途別】無線機の選び方

無線機には、いくつもの種類がありますが、用途別で最適な無線機を選ぶことが重要です。ここでは、用途別でおすすめの無線機を紹介します。

 

警備や交通整理時はトランシーバー・簡易無線

小規模イベントなどで、何かトラブルが発生した場合にスタッフ間で連絡を取り合う、交通整理をするために連絡を取り合うなどのシーンでおすすめなのが特定小電力無線や簡易無線です。

比較的範囲が狭い場合は特定小電力無線で十分用が足りますし、少し大規模な場合は簡易無線局がベターです。

長時間のイベントとなると、無線機の重量も気になるところですが、特定小電力無線なら長時間身につけていても気になることはありません。

 

ショッピングモールやホテルでは特定小電力無線

ショッピングモールなどでは、在庫確認などでスタッフ同士が連絡を取り合うことがあります。また、ホテルでもチェックインやレストランなどでも、無線機が頻繁に用いられています。

その際におすすめしたいのが、特定小電力無線です。コンパクトな筐体なので、邪魔にならずに仕事をしやすいというメリットがあります。

 

災害現場ではIP無線機

災害現場では、作業エリアが広範囲に及ぶケースがあります。そこでおすすめしたいのが、IP無線機です。

さまざまな無線に柔軟に対応できるので、スムーズなやり取りを可能とします。消防署や消防団同士で連携する際にも使われています。

 

長距離ドライバーにはIP無線機

長距離ドライバーにおすすめなのが、IP無線機です。IP無線機の利点である、距離依存がないという点が最大限に活かせます。

データ通信機能を活用する機会が多いという点でもおすすめです。

 

用途に応じた無線機を導入しましょう

無線機には様々な種類があります。それぞれの特徴やランニングコストなどを把握したうえで、ぜひ用途に応じた無線機を導入しましょう。業務をより円滑にするアイテムとしてご活用いただけるはずです。