2021.03.26 コラム

業務用無線機とアマチュア無線機の違いを分かりやすく解説

アマチュア無線が空前のブームを迎えた時代がありました。

今のようにスマートフォンなどで気軽にコミュニケーションをとることができない時代に、見知らぬ方と通信を楽しむことができると人気でした。

アマチュア無線は今でも存在するのですが、似たものとして業務用無線が存在しています。業務用無線機とアマチュア無線機にはどのような違いがあるのでしょうか。

こちらの記事では、業務用無線機とアマチュア無線機の違いについて解説します。

業務用無線機とアマチュア無線機の違い

業務用無線とアマチュア無線には、主に以下のような違いがあります。

それぞれの定義などについても、合わせて解説します。

 

1.アマチュア無線とは個人利用を目的として利用する無線機

アマチュア無線とは、個人的な利用を目的として使用する無線のことを指します。

一般財団法人日本アマチュア無線振興協会という、アマチュア無線の健全な発展のために設立さている非営利団体が存在します。

 

その一般財団法人日本アマチュア無線振興協会の定義では、金銭上の利益のためではなく、個人的な無線技術の興味によって行う自己訓練や通信、技術的研究を行うことを、アマチュア無線と呼んでいるのです。

よって、アマチュア無線を業務で利用する行為については、法律で禁止されているので注意しましょう。

 

また、アマチュア無線機を使用するためには、アマチュア無線技士と呼ばれる資格が必要です。

一級~四級まであるので、用途に似合った資格の取得が必要です。

 

また、無線局を開設するに当たって、無線局免許状の申請も必須になります。

 

2.業務用無線機とは仕事で使用する無線機

業務用無線にはいくつかの考えがあります。

狭義では業務用の情報伝達のための専用無線のことを指し、広義では電気通信役務として電気通信事業者が公衆に提供している、携帯電話やPHS以外のほぼ全ての無線のことを指します。

 

ただ、一般的には業務用の情報伝達のための専用無線のことを指すことが多いです。

主な種類だけでも、以下のようなものが業務用無線として活用されています。

 

  • 警察無線
  • 消防無線
  • 防災無線
  • 鉄道無線
  • 船舶無線
  • 航空無線
  • 空港無線電話
  • タクシー無線
  • 一般業務無線

 

最も身近な無線としては、一般業務無線があります。

実はこれにも細かな定義があって、上下水道事業、一般乗合旅客自動車の安全運行、電気事業、ガス事業、ニュースの取材及び速報に関する事項で使用が認められています。

 

3.細かな区分けが難しい場合の判断

明確にプライベートか仕事かで切り分けできる場合はよいですが、実際に使用する際にはどちらが適切であるか判断が難しいケースがあります。

 

例えば、会社で開催するイベントやスポーツ大会などで使う無線機については、基本的に業務無線の中の簡易無線で行うのが一般的です。

 

企業だけでなく、団体レベルでイベントを主催するケースでも、アマチュア無線で運営の連絡を取り合うのは違法となるのです。

逆に、個人でサバイバルゲームを楽しみたい場合などは、基本的にアマチュア無線機を利用することになります。

 

業務用無線機の使用に必要な免許について

業務用無線機を使用するに当たっては、所轄の総務省に対して免許申請して許可を受けなけなければならないケースがあります。

レジャー用などで広く活用されている特定小電力無線機については、免許不要で誰でも気軽に利用できますが、業務用無線機を使用するためには免許申請が必要です。

 

一般業務用の場合は無線従事者資格が必須となりますが、簡易な業務で用いる無線機の場合は個人の資格が不要となっています。

 

また、デジタル簡易無線機の場合は、簡単な登録手続きを行えば誰でも利用できますし、免許も不要です。

免許に関しては、一度取得すればよいのではなく更新が必要です。

 

簡易無線のケースでは、免許は基本的に5年間有効となっており、継続して使用する場合は更新手続きが必要となります。

免許申請書類を作成して、陸上無線協会を経由し管轄の総合通信局に申請を行うことで更新可能です。

 

業務用無線機の活用シーン別選び方

業務用無線機は、さまざまなシーンで活用可能です。

主な活用シーンと、適切な機種の選び方は以下のようになっています。

 

1.災害時の連絡用

業務用無線が特にその威力を発揮するのが、災害現場です。

消防無線があるように、災害時でも安定して通信できる業務用無線のニーズは、携帯電話が普及したなかでも高いものがあります。

 

災害現場では、本部を設置して本部から各隊員に対して指示が飛び、各隊員の情報は本部に集まる仕組みとなります。

本部には、備え付けタイプの無線機が使用されて、各隊員にはハンディ型無線機を携帯することが多いです。

 

また、災害の規模によっては、より広範囲の通信ができる無線機や、動画などで状況を知らせるためにIP無線機を使用するのもベターです。

 

2.イベント時の連絡用

イベント時には、基本的にスタッフ間同士で連絡を取り合うのが一般的です。

よって、ハンディタイプ無線機を持ち歩いて使用することになります。

 

イベントの規模によっては、簡易式無線機を使用するのもよいでしょう。

 

3.物流業界での活用

物流業界でも業務用無線機が活用されています。

運行管理者とドライバーの連絡手段として使われていることが多く、近年では運転時の携帯電話利用が出来なくなったため注目を集めています。

ドライバーの安全を確保しながら迅速な情報共有が可能になります。

トラックでは車に備え付けるタイプの無線機や、ハンディ型の無線機を車載クレイドルに取り付けるようなものまで、さまざまな種類があります。

 

業務用無線機を活用しよう

アマチュア無線機と業務用無線機は、見た目は同じでも免許が必要になるなどさまざまな違いがあります。

 

無許可で使用することで、行政処罰を受けることになるので注意してください。

ルールをしっかりと順守して、業務用無線機を活用しましょう。