2022.08.22 コラム
【5分でわかる】無線機の免許制度の概要から申請手順まで徹底解説
無線機を利用するためには免許申請や登録申請が必要になることをご存じでしょうか?
これから無線機の運用を開始しようと思っている方は必ず正しく理解しておく必要がある内容です。
しかし、無線機について詳しく知らない方にとっては少しわかりづらい制度であることも確かです。
この記事では無線機の利用に必要な免許局や登録局について解説します。最後まで読んでいただければ誰でも安全に無線機の利用を開始できるようになると思いますので、ぜひご覧ください。
目次
無線機の免許局と登録局について
無線機には大きく分けて「免許局」と「登録局」という二つがあります。
無線機を利用するためには、利用しようとしている無線機がどちらに当たるか把握し、申請を行う必要があります。
【免許局】免許申請が必要な無線機
免許局とは会社や団体が組織内の連絡手段として使うことを目的とした無線機です。主に業務用として利用されます。
免許局の無線機を利用する場合は無線機一台ごとに申請を行う必要があり、免許を持っている会社や団体に所属する人しか使うことができません。
登録局に比べて手間がかかる免許局ですが、通信距離やチャンネル数など機能面で優れており大きな組織で無線機を運用するのに向いていると言えます。
免許申請が必要な無線機
・デジタル簡易無線
・一般業務用無線
・MCA無線
等
【登録局】登録申請が必要な無線機
登録局とは業務連絡用途以外にもレジャーなどで利用することができる無線機のことです。
免許局と比べて機能面では劣りますが、中小規模の組織で利用するには十分な性能を備えている場合が多いです。
登録局は免許局のように一台ずつ申請を行う必要がなく、複数台をまとめて申請することができます。また、免許を持っていない人でも利用ができるため誰でも無線機を利用することができることもメリットです。
イベントやスポットでの工事など短期で利用するレンタル無線機はこの登録局にあたります。
登録申請が必要な無線機
・デジタル簡易無線(登録局)
等
免許申請の流れ
ここでは免許申請の流れについて詳しく解説します。
免許局の無線機を利用するためには申請を行い総務大臣の許可を得なければなりません。
申請
まずは総務省へ申請書と無線局の開設目的、設置場所、使用する無線機の工事設計などを記載した添付資料を提出します。申請には手数料がかかりますので気になる方はこちらをご確認ください。
総務省 電波利用ホームページ|申請書等のダウンロード|免許申請手数料一覧(平成20年4月1日 施行)
各種申請書のダウンロードや申請に関するQ&Aが総務省のWEBサイトに掲載されています。
総務省 電波利用ホームページ|申請書等のダウンロード審査
申請書類の提出が終わると総務省で審査が行われます。
審査事項としては主に下記のような事項が含まれています。
・工事設計が電波法に定める技術基準に適合すること。
・周波数の割当(わりあて)が可能であること。
・総務省令で定める無線局の開設の根本的基準に合致すること。予備免許
無事審査を通過すると予備免許が与えられます。
予備免許は実運用に向けて機器の調整を行うためのもので、工事や試験電波の発射のために交付されます。
予備免許を交付されたからと言って業務で無線機を利用できるわけではないという点に注意しましょう。検査
予備免許を取得して機器の設置が完了したら「落成届」を文書により各総合通信局に提出し、落成検査を受けます。
落成後の検査項目はおおむね次のものです。
・無線設備
・無線従事者の資格及び員数
・備え付けなければならない書類、時計交付
①~④までの工程を無事終了すると免許状が交付されます。
なお、免許状については下記の通り有効期限があるため確認しておきましょう。
・アマチュア無線局、陸上移動局、簡易無線局は5年
・義務船舶局、義務航空機局は無期限
登録申請の流れ
次に登録申請の流れを紹介します。
登録局の無線機を利用するためには、総務大臣の登録を受けることが必要です。
申請
まずは総務省へ申請書と無線局の開設目的、設置場所、使用する無線機の工事設計などを記載した添付資料を提出します。
登録局の場合は包括登録が可能で、複数台の無線機を一括で登録申請することができます。登録申請の場合は申請書と、無線局の開設目的などを記載した添付書類を申請者の住所を管轄する総合通信局又は沖縄総合通信事務所に提出します。
なお、無線設備の設置場所(移動する無線局にあっては移動範囲及び常置場所)、使用する無線設備の工事設計などの事項については、無線局を開設した後に届け出ることになります。
上記の申請には手数料がかかりますので気になる方はこちらをご確認ください。
総務省 電波利用ホームページ|申請書等のダウンロード|登録申請手数料一覧(平成20年4月1日 施行)審査
提出された申請書類は、総務省(各総合通信局又は沖縄総合通信事務所)で審査が行われます。主な審査事項は次の通りです。
・無線設備の設置場所(移動する無線局にあっては移動範囲)が総務省令に定める区域内であること。
・包括登録にあっては、無線設備を設置しようとする区域(移動する無線局にあっては移動範囲)が総務省令に定める区域内であること。
・重要な事項について虚偽の記載がないこと。また、重要な事実の記載が欠けていないこと。
登録
審査を通過すると各情報が登録されます。
登録局の場合、免許局と違い落成検査がありませんので仮免許の交付などはなく、本登録までの所要時間が短いのも特徴です。交付
無線局が登録されると登録状が交付されます。
登録状には有効期限があり、基本的には登録した日から5年が有効期限となっています。ただし、下記の場合はこの限りではありません。
・申請者が5年未満の有効期間を希望する場合
・周波数割当計画に5年未満の使用期限が設定されている場合届け出
①で説明した包括登録を行った場合、無線局を開設した後に届出書を提出する必要があります。この届出書は無線局を開設してから15日以内に管轄する総合通信局または沖縄総合通信事務所に提出しなければなりません。
電子申請について
現在免許申請、登録申請はインターネットを利用した電子申請を利用することができるようになりました。
電子申請はこちら
免許、登録が不要な無線機
ここまで無線機の免許局と登録局の説明をしました。
免許、登録の申請や更新など意外と手間がかかる部分ですが、このような手続きが必要ない業務用無線機をご存じでしょうか?
それがIP無線機です。ここ数年で一気に普及されてきたIP無線機について簡単に紹介します。
IP無線機
IP無線機とは、パケット通信を利用して通話を行う無線機で免許登録やアンテナの設置工事などが不要な業務用無線機です。
他の無線機にはない特徴を紹介します。
日本全国で繋がる通信距離
IP無線機はNTTドコモ、Softbank、KDDIなど普段私たちが利用している携帯電話と同じ通信を利用して通話を行います。
スマホで日本全国どこにいてもLINEなどで連絡が取れるように、IP無線機も日本全国どこにいても通話を行うことができます。
クリアな音声
無線機の通話といえば、通常の電話と比べて音質が悪い印象をお持ちの方も多いでしょう。しかしパケット通信を利用して通話を行うIP無線機は電話に負けないクリアな音質で通話を行うことができます。
免許が不要
IP無線機は業務用無線として高機能でありながら、免許申請や登録申請が不要な無線機です。他の業務用無線機に比べてすぐに利用を開始できるほか、5年に1回の更新も不要で簡単に無線機を利用できます。
簡単操作で多彩な通話モード
無線機の通話と言えば一斉通話やグループ通話が便利ですが、IP無線機はそのほかにもたくさんの通話モードがあります。
通話の仕方も直感的に行うことができ、導入時の教育もスムーズに行えるでしょう。具体的な通話モードについてはこちらのページでも紹介しています。
豊富なシステム連携
便利なのは通話だけではありません。端末の位置情報をリアルタイムで把握する位置情報管理システムやLINEとの連携、スマホアプリ版など日々便利なサービスが追加されています。
ソフトウェアのアップデートにより常に最新の機能を使えることもパケット通信を利用できるIP無線のメリットです。
更に詳しくIP無線機について知りたい方はこちらの記事もぜひご覧ください。
IP無線とは?無線やインカムなど他の機器との違いを詳しく解説
【まとめ】
この記事では無線機の免許局や登録局についてご紹介しました。
これから無線機の運用を開始される方は無線機の免許制度について正しく理解して運用をスタートしましょう。
また、最後に紹介したように免許申請や登録申請が不要な無線機も登場しています。
まだ機器の選定を行っている最中のかたはIP無線機の検討をしてみることをおすすめします。