2023.08.28 IP無線機

MCA無線機とIP無線機の違いとは?IP無線機のメリットについて徹底解説!

通信手段をを確保するにあたり、無線機の使用は一般的です。昨今では、通信距離及び利用用途によって多種多様な無線機が存在しています。

そのことから、各種シーンにおいてどのような無線機を導入すれば良いのか悩まれている方も多いのではないでしょうか。

無線機について調べたことがある方では、広域通信として有効であるMCA無線機とIP無線機を比較されている方も多いのではないでしょうか?

本記事では、MCA無線機とIP無線機それぞれの違い及びIP無線機のメリットについてご説明したいと思います。

 

MCA無線とは

2024年7月8日追記

一般社団法人移動無線センターより、800MHz帯デジタルMCAサービスおよびMCAアドバンスサービスについてサービス終了の通知がありました。
詳細は下記よりご確認ください。

800MHz帯デジタルMCAサービス終了についてのお知らせ
サービス終了日時:2029年5月31日

MCAアドバンスサービス終了についてのお知らせ
サービス終了日時:2027年3月31日

 

MCA無線機とは、MCA無線機専用の中継局を利用して無線通信ができる無線機です。通信を行う相手方の無線機と直接電波をやりとりするわけではなく、全国展開されている中継局を経由して無線通信を行うことが可能となっています。

また、最近ではキャリアの基地局を使った通信が行えるモデルも登場しています。

なお、MCA無線機には次の特徴があります。

 

  • 機種によっては、全国的に無線通信可能
  • MCA無線専用の通信網であるため、無線利用時の回線混雑などが発生しにくい
  • 免許の申請が必要
  • 4G/LTEでの通信が可能なモデルもある

 

MCA無線機の通信

MCA無線専用の中継局を全国に配備

MCA無線機を利用するために必要となる中継局は、全国展開されておりその数は114か所に上ります。全国各地に中継局を管理するセンターがあり、利用する地域ごとで契約を行います。

また、中継局を利用するにあたってはいくつの中継局を利用するかによって月額料金が異なり、1つの中継局を利用するごとに20km~40km程度の範囲で無線通信が可能となります。

全国に中継局があるとはいえ、山間部やビルが立ち並ぶ都市部では通信が繋がりにくいこともあるため導入前にデモを行うことをお勧めします。

マルチチャンネル方式

また、MCA無線は専用の通信網をMCA無線の利用者で共同利用します。MCA無線機を利用するための中継局において、無線を使う方に対してオートで空きチャンネルが設定される仕組みとなっており、限定されたチャンネルを全体で満遍なく利用しなければならないため1度の通信時間は3分~5分程度と短時間の通信しかできません。

大規模災害などの緊急時には、順番待ちをしなければならないケースもありますので注意が必要です。

LTE通信が可能なMCAアドバンス

2023年現在、MCA無線の最新機種としてMCAアドバンスが登場しました。

MCAアドバンスの登場により、従来のマルチチャンネル方式での無線通話ではなくLTE通信を利用した通話ができるようになりました。

自営の中継局とキャリアの基地局両方を利用することができるため、自営とキャリアのメリットを享受することができます。

また、LTEに対応したことにより音声通話だけでなくチャットやライブストリームなどの便利な機能も利用できるようになりました。

MCA無線機の料金

業務用無線機では、アンテナ設置といったイニシャルコストが発生しますが、MCA無線機では既存の中継局を利用することができます。
自営無線を1から構築するのに比べるとインフラ面での大きなイニシャルコストは比較的安価と言えます。

ただし、今後の通信エリアの拡張が加速する可能性は低いため、MCA無線が自営中継局であることのメリットに魅力を感じている方は導入時点での通信エリアはしっかりと確認しておきましょう。

なお、MCA無線機を利用するための中継局においては、無線従事者が配属されていますので業務用無線機と異なり、無線を利用する方に免許を取得を求めることはありません。

無線機の端末は他の業務用無線機に比べて高価なものが多く、1台あたり250,000円~300,000円の費用が掛かってきます。

 

 

IP無線機とは

IP無線機とは、大手キャリアが展開している既存のインターネット回線を利用することによって無線通信ができる無線機です。インターネット回線を使用する電話と同様に、音声をパケットデータへと変換して無線通信を行うことが可能となっています。

なお、IP無線機には次の特徴があります。

 

  • IP無線通信は暗号化処理を施されているため、混信などセキュリティも万全
  • 免許及び資格は必要なし
  • 通話以外の機能が低コストで利用できる

 

IP無線機の通信

これまでの無線機の仕組みでは、通信用としている相手方の無線機が発出している電波を受信することによって無線通信することが可能でした。そのため、電波の関係上において通信できる距離に限界があり、ある程度の距離が離れていると音声が聞き取りずらくなってしまったり、通信そのものができなくなってしまう問題がありました。

しかし、IP無線機ではスマホなどを利用する際のインターネット回線を主たる通信手段として構築しているため、スマホなどが利用可能なエリアであれば全国どこでも無線通信を行うことが可能となったのです。この圧倒的な通話エリアの広さがIP無線の一番の特徴です。

また、IP無線機ならではの多彩な通話モードが利用できることも魅力の一つです。

 

これまでの無線機では、障害物などによって安定した通信が確保できないといった悪影響を大きく受けることも珍しくありませんでしたが、IP無線機では障害物の影響を受けることはほぼありませんので、山間部やビルが立ち並ぶ都市部でも安定した通話を行うことが出来ます。

また、スマホなどにおいてはメール及びインターネットを利用する際に暗号化されたデータを使用しています。IP無線機も同様であり、送受信は暗号化されたデータでやりとりを行っているため、これまでの無線機で発生していた混信に伴う傍受や盗聴などの心配もありません。

なお、IP無線機にはGPS機能が備わっていますので、現在地の把握を非常に簡単に行うことが可能となっています。

 

IP無線機の料金

IP無線機は携帯電話やスマートフォンで利用するパケット通信を利用するため、月額の利用料が発生します。イニシャルコストについてはアンテナを設置する必要がないためこちらもコストを抑えることが可能です。

またIP無線機は免許及び資格も必要ありませんので、無線機を購入すれば直ちに導入することが可能となっています。

IP無線機はLTEを利用するため、MCAアドバンスと同様にチャットや画像・動画の送受信、位置情報管理機能などコミュニケーションを円滑にする便利な機能を使うことができます。
モバイルクリエイトの業務用IP無線システムiMESHは、これらの便利機能が標準機能として搭載されています。

日々の業務では音声だけでは情報が足りない場面が多々あります。音声以外のコミュニケーションを一律料金で利用できる点は日々変化する業務に柔軟に対応するための強い味方になることは間違いありません。

端末の費用もMCA無線に比べ安価で、1台100,000円以下のモデルも登場しています。

 

結局どっちがおすすめ?MCA無線とIP無線機の選び方

MCA無線がおすすめな人

ここまでの解説を踏まえ、MCA無線がおすすめな人は下記のような方です。

  • 自営無線のメリットを享受したい
  • 通信の多重化をしたい
  • MCA無線を利用中で操作に慣れている
  • ランニングコストが高額になっても問題ない

MCA無線は自営の中継局を持っているという強みがあります。
無線機を利用するシーンにもよりますが、自営無線という点が大きなメリットになる業務もありますので、しっかりと検討しましょう。

IP無線機がおすすめな人

IP無線機がおすすめな人は下記のような方です。

  • 自営無線にメリットを感じない
  • ランニングコストを抑えたい
  • イニシャルコストを抑えたい
  • 音声通話以外の便利な機能も使いたい

IP無線機は様々な便利機能を低コストで利用することができます。

無線機とついていますが、様々な方法を駆使して最適なコミュニケーションをとることができる多機能コミュニケーションツールと言っても過言ではありません。

 

 

【まとめ】無線機を導入するのであればIP無線機を!

ここまで、MCA無線機とIP無線機それぞれの違い及びIP無線機のメリットについてご説明をさせて頂きました。

MCA無線機とIP無線機では、利用用途にもよりますがIP無線機のコストパフォーマンスの高さが目立つ形となりました。

IP無線機の優位性は、次のとおりです。

 

  1. 無線機を維持するにあたってのランニングコストを安価に抑えることが可能
  2. 円滑なコミュニケーションを実現する便利機能が低コストで使える
  3. 初期費用も安い

 

ご自身の無線機選びで最重要視するポイントはどこなのかをしっかりと検討して、最適な無線機を選びましょう。